「わかっちゃう! 知的財産用語 (特許,商標などの用語解説)」

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特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 
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更新登録の申請(こうしんとうろく の しんせい)


 [ 更新登録の申請 (こうしんとうろく の しんせい)]


 商標権の有効な期間を延長させるための手続きのことです。



(1) 商標は登録されると原則として10年間保護されます。

 この保護される期間、つまり商標権が有効に存在できる期間のことを「存続期間」と言います。

 そして「存続期間」が終了すると商標権は消滅します。

 でも、この商標権の「存続期間」は延長することができます。



(2) 特許権や実用新案権や意匠権は、原則として存続期間を延長することはできません。

 これは、特許や意匠などは一定期間 独占させた後は、誰でも自由に使えるようにしたほうが産業の発達が期待できるからです。


 それに対して、商標の場合は、使っていると商標に信用ができてくるので、商標権者が必要なら長期間独占させて方が好ましいからです。

(ある日を境に有名な商標を誰が使って良いということになれば、市場は混乱しちゃいますよね。買う人も何を信用して買って良いかわからなくなってしまいます。)



(3) 更新登録の申請は、原則として「存続期間」が終わる6月前から「存続期間」が終わる日までの期間にしなくてはなりません。

 早すぎても遅すぎてもダメです。

 「存続期間」が終わってから6月以内なら、遅れて申請することもできるのですが、納付する料金が「倍額」になってしまいます。

 「まとめて50年分更新」なんてこともできません。



(4) 更新登録の申請を行うときは、「商標権存続期間更新登録申請書」という書類を提出します。その時に「更新登録料」も納付しなくてはなりません。


 商標が最初に登録されるときには登録料を5年分だけ納付する分割納付という制度がありましたが、更新登録料も5年分ずつ分割納付することができます。
  (でも、分割納付すると割高になります。)



 「更新登録の申請」は何回でもを行うことができますので、10年毎にきちんと更新すれば半永久的に商標権を有効に持ち続けることができます。



 只、更新登録料は最初の登録料よりに比べて「倍以上」も値段が高いです。


 ですから大切な商標権については更新するのは当然ですが、不要な商標権まで存続期間を延長させるのは無駄が多いです。



                ☆                    ☆


[関連事項と経験談]


(1)特許権も存続期間が延長できる場合があります。

 これは主に医薬関係の特許の場合であって、製薬会社以外にはあまり一般的な話しではありません。

「せっかく医薬の特許権をとっても他の法律の関係で医薬を売れない時期が長いことがあると かわいそうなので、一定期間だけ延長を認める場合がある」程度にお考え下さい。


 
(2)昔は「更新登録の申請」ではなく「更新登録出願」でした。

 そのころは、「商標を使用していることを証明する証拠」を添付して出願する必要がありました。

 つまり「使ってない商標は更新を認めない」という前提で審査がされ、使っている証拠(例えばパンフレットや商品の写真など)を提出しないと更新ができませんでした。

 当時は、実際には使っていない商標を更新するために、苦肉の策として商標の書かれたラベルを作って、別の商品に貼り付けて写真を撮って提出するようなこともあったようです。

(企業の経営戦略の関係で、使っていなくてもキープしておきたい商標登録も有るので、こんな笑い話みたいなことが起こったのです。)

 今の「更新登録の申請」では「使っている証拠」を提出する必要はありません。



(3) 更新登録の申請は10年毎なので、きちんと管理しておかないと折角商標登録を受けられても10年後に忘れてしまって大切な商標権が消滅してしまうことがありますので注意してください。

 会社でも10年たてば人事異動や退職などで担当者が変わると思いますので、引継はしっかりやりましょう。


 商標権が消滅しても再び出願すれば商標登録されることはあるのですが、「絶対に登録される」というものではありませんからリスクは大きいです。


 商標登録出願の審査基準は時代により変わるので、昔なら登録できても今では登録が認められない商標もあります。

 私の勤務していた会社は100年以上の歴史がある会社だったので、そのような「今では登録できない商標」も多く、しかも大切な商標だったので、担当者は「更新を忘れたらクビだろうな」なんて冗談を言ってました。



(4)商標権侵害の警告を受けた場合には、その商標権が今も「生きている」かどうか確認しましょう。

 更新を忘れて商標権が消滅しているのにもかかわらず、それに気が付かずに警告してくる会社も見たことがあります。間抜けな話しですね。




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