「わかっちゃう! 知的財産用語 (特許,商標などの用語解説)」

さかな  わかっちゃう  知的財産用語
特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 
さかな


特許貧乏 (とっきょびんぼう)


 
 「特許貧乏(とっきょびんぼう)」


 「発明」について「特許出願」をしたり、「特許権」を取得したものの、利益をあげることができず、結果として貧乏となってしまうこと、又はそのようにして貧乏になった人のことです。

 もちろん「法律用語」ではありません。



(1) ご存知のように発明は「特許」により保護されます。

 でも特許権を得るためには費用がかかります。

 「特許出願」の費用
 「出願審査請求」の費用
 「設定登録」のための費用
                など。
      
 又、特許権を得た後もそれを維持するために「特許料(年金)」が必要となります。

 つまり、特許権を得るにも、特許権を維持するにも 費用がかかります。



(2) 特許により発明を保護することはビジネスの上で大切です。

 でも「特許を取る」こと自体が最終目的ではありません。
(「趣味」「道楽」「自己満足」であるなら話しは別ですが・・・)


 せっかく費用をかけて取得した特許権も利益をあげることができなければ、「金食い虫」になってしまいます。

 たくさんの「金食い虫」を飼っていると、「特許貧乏」になります。


 特許は「ビジネスの道具」として使って、最終的に利益を得ることが大切です。



(3) 1件の特許で「特許貧乏」ということは少なく、多数の特許出願や特許権の維持で大きな費用を使っている場合が多いです。


 特許貧乏になりやすいパターンとしては、

 (A) 自分の発明を過大評価している。

 (B) ビジネスについて全く考えていない(又は甘く考えすぎている)。

 (C) 思いついたアイデアを全て出願している。

などがあります。


 色々工夫して完成した発明について、全て特許出願して「成果」として残しておきたい気持ちは良くわかります。


 でもビジネスの道具であるのなら、費用と効果とを考える必要があると思います。


               ☆                   ☆   


[関連事項と経験談]


(1) 出願前に特許調査しましょう。


 特許電子図書館 等を利用すれば、無料である程度の特許調査ができます。

 調査結果を考慮して出願を厳選することにより、無駄な出費を減らすことができます。


 できれば出願の直前ではなく、アイデアが浮かんだ時点で、調査すると無駄な開発の労力も省けます。



(2) 特許を取ることができた場合を想定し、どのようにビジネスや収益に結びつけるのか考えてみましょう。

 (特に個人や小企業の場合は大切です。)

 例えば、

 「製品は自分で作るのか、協力してくれる工場を探すのか?」

 「製造原価はどれくらいか?」

 「どのような販売ルートで売るのか?」

 「どのくらいの数が売れそうか?」

 「販売価格はどれくらいにするか?」

 「ライセンスの売り込みをして採用してくれそうな会社はあるか?」


 など 考えてみてください。


 考えるだけなら費用はかかりません。


 必要なら、市場調査、材料の値段の調査、工賃の調査などもされれば良いです。



(3) 一度 客観的な立場で 自分の発明に向かい合いましょう。


 自分が苦労して作ったものには愛着があります。そのため、発明者はどうしても自分の発明を過大評価する傾向があります。

(自分の子供を過大評価する「親バカ」と似た心理だと思います。)


 第三者になったつもりで厳しく発明を見直してください。

 でも これが案外難しいようです。
 「できの悪い子ほど可愛い」とか言いますが、「苦労した発明ほど可愛い」のでしょうね。



(4) 出願審査請求の前に、「本当に権利化する必要があるのか否か」を検討しましょう。出願時よりも冷静に判断できると思います。



(5) 小企業の経営者さんと
「100円ショップで売ったら、結構 売れるかもしれないなー」
と思えるようなアイデア商品について面談していて、ビジネス展開の話しに
なることがあります。


 西川 「いくらくらいで販売するつもりですか?」

 社長 「少なくとも3,000円やな。そやないと赤字や。」

 西川 「この商品が3,000円で売っていれば、社長は買いますか?」

 社長 「いや、絶対買わへんやろなー」

 西川 「・・・・ (^_^;) 」

 社長 「うーん、もうちょっと考えてみますわ。」



 本人が買いたいと思わないのに、他人が 買ってくれるとは考えにくいですね。


 こんな簡単な会話だけでも、発明を少し冷静に見ていただくことができたわけです。


 もちろん この場合でも 直ぐに「やめる」という結論を出す必要はないです。 値段を下げる工夫や付加価値の付け方など 色々工夫できることはあるからです。



(5) 話しが複雑になるので今回は詳しく説明しませんが、直接利益を生んでいない特許権でも、その存在により他社参入の抑制,宣伝広告などの効果があり、結果として利益をあげるのに役立っていることがあります。

 「金食い虫」かどうかを評価する際にはそのあたりも考慮したいです。



(6) もちろん 将来 何に役立つかわからないから、できた発明は全部出願しておくという考え方もあります。このあたりは予算との兼ね合いです。


 私が昔 勤務していた会社でも一時期、なんでもかんでも出願していました。でも、景気が悪くなってからは出願や特許権の維持を厳選するようになりました。



(7) 個人の発明家と話をしていると

 「特許が取れたら、何もしなくても特許公報を見たメーカーからアプローチがあって、直ぐにライセンス契約できる」

と思っている人が多いのが気になります。

 確かに、その可能性も否定はしませんが、実際はそんなに甘くはないです。



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