さかな 実用新案法の改正について



 実用新案法の比較的大きな改正がありました。


 そこで、実用新案法の改正点について簡単に説明させていただきます。

 全てを説明するのは量の関係で困難ですし、詳しく説明しても余計にわかりにくくなってしまうので、主な改正点だけ簡単に説明します。


             ☆                       ☆



(1)存続期間が長くなります。


 現在は出願日(出願した日)から 最大6年間 です。

 改正後は出願日から 最大10年間 となります。



(メリット)

 より長期間の保護が可能となります。

 6年程度だと、アッという間に終わってしまうような感じがありましたが、存続期間を長く認めることにより、実用新案制度の魅力がアップし、今までより実用新案出願が増えると思います。



(注意点)

 適用されるのは今年の4月1日以降に出願されたものになりますので、既に出願されたものや、今年の3月末迄に出願されるものについては、今まで通り出願日から6年となります。





(2) 登録後でも特許出願へ変更することができるようになります。


 現在は出願後 登録を受けるまで(約5ケ月)に限り、特許出願に変更できます。

 
 改正後は、実用新案登録後であっても出願から3年以内であれば変更できます。

 正式には「変更」ではなく「実用新案登録に基づく特許出願」と言います。

(既に実用新案権が発生しているため、出願相互の乗り換えである「出願の変更」とは少し概念が違うからです。)



(メリット)

 とりあえず実用新案権を得ておき、必要に応じて特許出願に変更するというようなことが可能となります。



(注意点)

 「実用新案登録に基づく特許出願」を行うと元の実用新案権は「放棄」することになります。


 又、期間内であっても、出願人又は実用新案権者が「実用新案技術評価書」( http://www.jpat.net/Y58.htm )の請求を行っている場合は「実用新案登録に基づく特許出願」をすることができない等の制限が有ります。


 「実用新案登録に基づく特許出願」は通常の特許出願と同様に「出願審査請求」をしなければ審査されません。所定の期間内に忘れずに出願審査請求の手続きをするようにしましょう。


 尚、当然のことですが、審査において拒絶され特許を受けることができない場合も有ります。その場合でも「放棄」した実用新案権は復活しないので、実用新案権を失い、特許も受けられない悲しい状況も考えられます。





(3)訂正(登録後の内容変更)が認められる範囲が広くなります。


 現在は「実用新案請求の範囲(権利の内容を決める記載)」中の「請求項の削除」のみが認められます。


 改正後は「実用新案請求の範囲」の内容を狭くする訂正などもできるようになります。つまり、今までより訂正できるバリエーションが増えることになります。

 これにより今までのように いずれかの請求項を全部削除することなく、請求項の内容を変更することなどができます。


(メリット)

 第三者に無効審判を請求されたような場合に、それに対抗して実用新案請求の範囲の内容を変更して対抗することができます。


(注意点)

 「請求項の削除」以外の訂正は1回だけしか認められません。

 又、他にも訂正が認められるための期間的,内容的な条件があります。



(4) 実用新案の登録料が値下げされます。

 これにより実用新案権の維持に必要な費用が少なく成ります。

 これは権利者にとっては 良いことですね。
 


                 ☆                     ☆


[関連事項]

(1) 他にも細かな規定は色々あるのですが、改正法の条文などは特許庁のホームページ をご覧下さい。



(2) 書籍としては

 「特許庁総務部総務課制度審議室 編
    産業財産権法の解説―平成16年特許法等の一部改正


 が一番 わかりやすいと思いますので お勧めします。


 実務家や弁理士試験受験生には必須の書籍でしょう。

 改正の際に特許庁が簡単なパンフレットを配布する場合もありますので、興味のある方は一度特許庁に問い合わせてみてください。 
    (特許庁:電話03−3581−1101)





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