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特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 
さかな


冒認出願 (ぼうにんしゅつがん)


 冒認出願とは、

 出願する権利のない者がした出願のことです。


 例えば、特許を受ける権利を有しない者がした特許出願や、意匠登録を受ける権利を有しない者がした意匠登録出願等が冒認出願に該当します。


 発明については発明者が特許を受ける権利を持っており、意匠についてもその創作者が意匠登録を受ける権利を持っています。ですから特許の場合を例にとると、原則として特許を受ける権利を持っている発明者のみが特許出願することができます。


 只、この「特許を受ける権利」は譲渡することができますので、「特許を受ける権利」を譲り受けた者が特許出願することは認められています。例えば、企業の特許出願では従業員から「特許を受ける権利」を譲り受けて、企業が自らの名義で出願していることが多いですが、これは「特許を受ける権利」を有する者による出願であり冒認出願とはなりません。


 冒認出願は特許すべきではないので、審査において冒認出願であることがわかれば、拒絶されます。


 しかし、現実問題として審査官には出願人が本当に「特許を受ける権利」を持っているか否か、つまり冒認出願であるか否かはわかりません。したがって、そのような冒認出願に特許が付与されてしまう可能性が有ります。


 但し、この場合でも本来特許すべきでないことには変わりは無いですから、正当な「特許を受ける権利」を持っている人が無効審判を請求し、審理でそのことが明確になれば、その特許は無効となります。


(追記)
 法改正により平成24年4月1日以降の出願については、所定の条件を満たせば、真の権利者となる者は、冒認出願による特許権者に対して特許権の移転を請求できるようになりました。
 

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 [関連事項と経験談]

(1)  冒認出願が生じる場合としては、他人の家や会社に忍び込んだり盗聴するなどして不法に知り得た発明を自分の名義で出願するような場合が考えられますが、実際には発明者の不注意が原因の場合も多いのではないかと思います。


 例えば、居酒屋でお酒を飲んで気分が良くなり、つい知人に発明内容を話しをしてしまい、それを聞いた知人や隣の席の他人が勝手に自分名義で出願してしまうようなことも考えられます。

 (これを読んで「ギクッ!」としている方もおられると思いますが、前回説明した「公知」のこともありますので、出願前の発明については公の場で気軽に話ししないように注意してくださいね。)






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