「わかっちゃう! 知的財産用語 (特許,商標などの用語解説)」

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特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 
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  [ 見本(みほん)] (意匠関係)



 [ 見本(みほん)]  (意匠関係)



 意匠登録出願において、図面に代えて提出する実物の物品のことです。

 「図面代用見本」とも呼ばれます。



(1) 物品のデザイン(意匠)について独占的に実施(製造,販売など)したい場合は、
  意匠登録出願をして意匠登録を受けます。


 意匠登録出願の際には、どのような意匠であるのかを特定するために六面図などの図面を提出します。


 図面に代えて、写真を提出することもできます。


 更に、図面に代えて「見本」又は「ひな形」を提出することもできます。




(2) 但し、どんな物品でも「見本」として提出して出願できるわけではありません。

 
 例えば、腐ってしまう物や、大きな物品を提出されても、特許庁では保管や取り扱いに困ってしまいますね。



 そこで、提出できる見本には次のような条件が有ります。


 (A) こわれにくいもの又は容易に変形し若しくは変質しないもの。

 (B) 取扱い又は保存に不便でないもの。

 (C) 袋に納めた状態で、厚さが7mm、大きさ縦26cm×横19cm以下のもの。


 ただし、薄い布地又は紙地については、縦横それぞれ1m以下の大きさのものを7mm以下の厚さに折りたたんで袋に入れることができれば良いとされています。


 以上の条件を満たす物を考えると、「織物地」や「包装紙」 などのような
薄いものが 該当します。


 そのため、「見本」を提出する意匠登録出願というのは あまり一般的ではありません。



(3) 図面の代わりに「見本」を提出する場合は、願書にその旨を書かなければなりません。


 見本を提出するときは、「見本」を丈夫な袋に納めてA4の用紙にはり付けます。


 袋は透明な袋が望ましいとされています。袋の外から中身を確認し易いからでしょう。



(4) 「見本」は図面や写真と異なって、電子情報として扱うことはできませ ん。


 つまり、通信回線を利用したオンラインによる手続で提出することができません。


 見本の提出は(見本を入れた袋をはり付けた)書面で提出しなくてはなりません。


 その場合、願書も含めて書面を提出することによって出願するのが一般的だと思いますが、願書だけオンラインで出願して、見本は同日に「ひな形又は見本補足書」により書面で提出することも可能です。


 願書だけオンラインで提出する場合には、願書に【提出物件の特記事項】の欄を設けて「同日に見本を提出します。」のように書いておきます。



 まあ、図面に代えて見本を提出するというのは あまり一般的な出願の仕方ではありませんので、「ひな形又は見本補足書」の作成方法などの細かい説明は省略させていただきます。


              ☆                   ☆



 [関連事項と経験談]


(1) 今回説明した「見本」と同様に、図面に代えて「ひな形」を提出することもできます。


 「見本」と「ひな形」は、まとめて「見本(ひな形)」として説明されることが多いので、同じ物だと思っている人もいますが、「見本」と「ひな形」とは異なります。


 「見本」は「実物」です。

 それに対して「ひな形」は実物の外形を模した「模型」です。


 ですから、「ひな形」は実物とは大きさや材質が異なる場合もあります。



(2) 見本を使って出願した場合でも(意匠公報に見本を貼り付けることはできないので)、見本の写真(デジタル写真なのかスキャナによって電子化された画像なのかは知らないです)が掲載されます。


 そして

「見本による出願なので、詳しくは特許庁に来て現物を閲覧して下さい」

というような趣旨の注意書きも併せて公報に掲載されます。


 ちなみに この電子化の作業は特許庁が行います。


 実際に見本を使った意匠登録の公報をたまに目にしますが、撮影や印刷の関係で「ベターッ」と単調にプリントされていることが多く、ちょっと公報の画像だけからは意匠が分かりにくいこともあります。


 東京の人は近くなので良いですが、遠方の地域に住んでいる人は いちいち東京の特許庁まで確認のために出かけるのは 面倒ですね。



(3) (全くの余談というか たわごと)

 「見本」や「ひな形」は、図面や写真のように情報として転送できませんが、将来的にはSF映画のように「フォログラム(立体映像)」として情報を送れるようになるかもしれませんね。


 そうなれば、大きな物品でも情報として転送できますし、立体として再現することもできますので審査や調査,閲覧もし易くなるでしょうね。



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