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[住所変更手続(じゅうしょへんこうてつづき)] |
[住所変更手続(じゅうしょへんこうてつづき)] 移転,引っ越しなどで出願人や権利者などの住所が変わった際に行う手続のことです。 (1) 特許庁に特許出願や商標登録出願などの手続をしている場合や、既に特許権や商標権を持っている場合には、住所がへ変わった際に特許庁(長官)に対して住所変更手続をする必要があります。 出願中と登録後(権利化後)とでは 手続が異なります。 (2) 出願中については「住所(居所)変更届」を出します。 特許庁では手続を行った者に識別番号を付与しています。識別番号というのは簡単に言うと「背番号」のような番号です。 同じ識別番号で行った出願については、1通の「住所(居所)変更届」を提出するだけで、複数の出願について同時に住所変更をすることができます。 「住所(居所)変更届」には「旧住所又は旧居所」、「新住所又は新居所」などを記載します。 出願中の手続きですので、既に登録されて権利化されているものについては、「住所(居所)変更届」では住所変更手続をすることができません。 (3) 登録後(権利化後)は「登録名義人の表示変更登録申請書」を提出します。 この書類には「収入印紙」を貼る必要があります。 (「特許印紙」ではありませんので注意してください。) この手続をすると、特許庁の登録原簿に記録されている権利者の住所が変更されます。 尚、移転による住所変更ではなく、市町村の合併や行政区画名の変更などで住所表記が変わる場合は、「登録名義人の表示変更登録申請書」に収入印紙を貼る必要はありません。 但し、その場合は、「登録名義人の表示変更登録申請書」に「非課税である旨の申立」という項目を作って、その理由を、例えば「市町村の合併による変更」のように書いておく必要があります。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 私のお客さんは、個人事業やベンチャー企業が多いので、比較的住所が変わることが多いです。たいていの場合、事業が軌道に乗って大きなオフィス又は便利な場所に移転されます。 最初はご自宅の一室ではじめて、その後ビジネスが成功して移転するという方も多いです。 お客さんの商売が成功して発展していかれるのは嬉しいものですね。 (私も微力ながらお手伝いできて良かったと思います。) (2) ここ数年、市町村合併が多かったですね。移転していなくても市町村合 併や行政区画名の変更などで住所表記が変わった場合、特許庁に対して住所変更手続を行ったかどうか確認してみてください。 引っ越ししていないので、つい忘れがちになりますが、まだ行っていない場合は、住所変更手続することをお勧めします。 (3) 住所変更手続をしなくても、それ自体に罰則が有るわけではありません。 只、特許庁からの通知(例えば「登録査定通知」)が届かず、そのために通知に対する対応(例えば「登録料納付」)ができずに不利益(例えば「出願無効」)を被るようなことはあります。 そのようなことがないように、住所変更があればすぐに住所変更手続をすることをお勧めします。 尚、出願に代理人がついている場合は、特許庁からの通知は本人ではなく代理人に送られます。 (4) 又、住所変更手続をしない場合のデメリットとして、特許庁に「別人と判断されてしまう」ことがあります。 例えば、「大阪市」に住所があるA社が「まいどまん」という商標について登録を受けて商標権を持っていたとします。その後、A社は「大阪市」から「神戸市」に移転したとします。 その後、住所変更手続をすることなく、新しい住所で「マイドマン」という商標を出願したとします。 商標法では、(同一又は類似の商品・役務について)「他人の」登録商標と類似する商標は拒絶する(登録しない)こととなっています。 特許庁では「大阪市のA社」と「神戸市のA社」は、他人(別人)と判断します。会社名は一緒でも住所が異なるからです。 実際、別の地域に同名の会社が有ることも多いですから、そのように判断するのはもっともなことだと思います。 そのため、新たな商標「マイドマン」の出願は、「まいどまん」という「他人の」類似する登録商標が有ることを理由として拒絶されてしまいます。 これに対しては意見書を提出して「同一人である」ことを審査官に説明して拒絶査定を待ってもらうと共に、登録済みの「まいどまん」についての住所変更手続をすれば「マイドマン」についても登録できますが、余計な手間がかかりますし、登録も遅れることにもなります。 (尚、審査官は事情がわかれば待ってくれるとは思いますが、絶対に待ってくれるという保証は有りません。) (5) 特許権や商標権などに基づいて権利行使する場合は、その前に登録されている住所が現在の住所であるか確認してください。 住所が違うと相手や裁判所に「他人の権利」と思われてしまうことがあるからです。 (6) 他人の特許発明や登録商標を使いたい人は、権利者に実施許諾(使用許 諾)又は権利譲渡などの交渉をします。その際に、特許庁の原簿に登録されている住所が現在の住所でない場合、権利者を探しにくくなります。 このように住所変更手続をしていないばかりに、せっかくのビジネスチャンスを失ってしまう可能性もあります。勿体ないですよね。 (7) 出願を代理人(弁理士)に依頼していた場合は、特許庁に住所変更手続 をするだけて無く、代理人にも住所変更をしたことを連絡しておきましょう。 上記のように特許庁からの通知は、代理人に送られてくることがあるのですが、代理人から出願人に連絡がつかないと困るからです。 私も、以前 移転して住所も電話番号もメールアドレスも変わったお客さんがいらっしゃったのですが、大事な連絡をつけることができず とても困ったことがあります。 その時は、インターネットで検索したり、関係者に聞き込んだりして3日がかりで見つかったのですが、 「これじゃー特許事務所じゃなくて、探偵事務所だよなー」 と思いました。(^_^;) |
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