わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
[ みなし取り下げ ] |
[ みなし取り下げ ] 特許出願などの出願を「取り下げた」ものとして扱うことです。 (1) 特許出願などの出願は、原則として出願人が「取下げ手続」を行えば、取り下げることができます。 しかし、出願人が取下げ手続をしなくても、取り下げたとして扱われる場合があります。 このような場合のことを「みなし取り下げ」と呼びます。 もちろん、自分の出願が勝手に取り下げられるのは困りますので、どのような場合に「みなし取り下げ」になるかは特許法などで定められています。 (2) 「みなし取り下げ」となる場合は、いくつかあるのですが一番 知っておいていただきたいのが特許の「出願審査請求(以下、単に「審査請求」 と言います)」を所定期間内にしなかった場合の「みなし取り下げ」です。 特許出願は、出願しただけでは審査されません。 審査してもらうためには「審査請求」の手続きを行う必要があります。 この審査請求をすることができる期間(審査請求期間)は特許法で「出願の日から3年以内」と決められています。 つまり、出願の日から3年以内に審査請求をすると審査官がその出願について審査をします。 一方、出願の日から3年以上経過しても審査請求されない出願は、審査されることなく取り下げられたものとみなされます。つまり、取り下げ扱いとなり、特許権を得ることはできなくなります。 尚、特許法改正の関係で、平成13年9月30日以前にされた特許出願については、審査請求期間は出願の日から7年間です。御注意ください。 (3) 上記の審査請求がない場合の「みなし取り下げ」以外にも、出願が取り下げとみなされる場合があります。 出願変更の場合、例えば「実用新案登録出願」を「特許出願」に変更したような場合、元の出願(この場合は元の「実用新案登録出願」)は、取り下げたものとみなされます。 変更ということは別の出願に変えたわけですから、元の(変更前の)出願を残しておくべきではないからです。 国内優先権を主張して特許出願をした場合には、基礎となった出願は所定期間経過後に取り下げたものとみなされます。 国内優先権制度については詳しい説明は割愛しますが、簡単に言うと所定の条件下で、出願済みの特許出願に内容を付け足すなどして新たに出願し直すことができる制度です。 この場合、国内優先権を主張した新たな出願に乗り換えたことになり、基礎となる(先に出願した)出願は残しておく必要がなく所定期間経過後に取り下げとみなされます。 その他にも「みなし取り下げ」になる場合はいくつか有りますが、あまり一般的ではないので今回は説明を省略します。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 特許公開公報には出願審査請求の有無が記載されています。 しかし、それは公開公報が発行された時点(正確には公開公報を作成した時点だと思います)での審査請求の有無を示しているに過ぎません。 公開公報発行後に出願審査請求されることも多いです。 公開公報は原則として出願から1年半経過後に発行されますが、審査請求は出願から3年だからです。 ですから、公開公報に「出願審査請求されていない」旨が示されていても、それだけではその出願が「みなし取り下げ」に成っているかどうかは判断できません。 審査請求期間内に審査請求が有ったかどうかは「特許電子図書館」などを利用すれば、調べることができます。(但し、特許電子図書館のデータベース入力にタイムラグがあるので、注意してください。) (2) 「みなし取り下げ」の「みなし」というのは、「みなす」という言葉からきています。 「みなす」とは、実際には同じではない事物を、一定の法律関係のもとにおいて同じであると解釈して扱うことを意味します。 よく似た言葉として「推定する」ということばがあるのですが、法律用語としては意味が異なります。 「推定する」の場合は、反証(そうでないことを立証)すれば、認識が覆ることがあります。しかし、「みなす」の場合は反証が許されません。 例えば 「AはBであると推定する」 という場合、反証が認められれば「AはBではない」という扱いになりますが、 「AはBであると みなす」 という場合には反証できないので「AはBである」ということが確実であるとして扱われます。 |
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