わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
[氏名(名称)変更手続き] |
[氏名(名称)変更手続き] 出願人や権利者などの、氏名又は名称を変更する手続きのことです。 (1) 特許や商標登録の出願をする際には、願書に出願人を記載する必要があります。 出願人というのは、簡単に言うと権利化されたときに、「特許権者」,「商標権者」等の権利者になる人のことです。 出願人は自然人(普通の人)でも法人(会社)でも良いのですが、出願後に個人の氏名や法人の名称が変わることがあります。 例えば、個人の場合、結婚や離婚により苗字が変わるようなことがありますし、会社の場合はCI(コーポレート・アイデンティティ)などにより社名変更する場合などがあります。 同様に、権利化された後でも権利者の氏名や名称が変わることがあります。 (2) このような場合、特許,商標等の出願をしている出願人や、特許権者,商標権者などの権利者は、特許庁(長官)に「氏名(又は名称)が 変わりましたよ」と届け出る必要があります。 出願中と登録後(権利化後)とでは 手続が異なります。 (3) 出願中については「氏名(名称)変更届」を提出します。 特許庁では手続を行った者に識別番号を付与しています。識別番号というのは簡単に言うと出願人毎につけられている「背番号」のような番号です。 同じ識別番号で行った出願については、1通の「氏名(名称)変更届」を提出するだけで、複数の出願について同時に住所変更をすることができます。 これには、変更前の「旧氏名又は旧名称」と変更後の「新氏名又は新名称」を記載します。 以前に「住所変更」について説明しましたが、氏名と住所が同時に変わったような場合、例えば「結婚して苗字が変わり、新居に引っ越しした」ような場合は、「氏名(名称)変更届」と「住所変更届」の両方を提出します。 (4) 権利化後については「氏名(名称)変更に伴う登録名義人の表示変更登録申請書」を提出します。 こちらも「変更前の表示」として変更前の氏名又は名称と、「変更後の表示」として変更後の氏名又は名称を記載します。 この書類には「収入印紙」を貼る必要があります。 (「特許印紙」ではありませんので注意してください。) この手続をすると、特許庁の登録原簿に記録されている権利者の氏名又は名称が変更されます。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 会社設立前の準備段階で個人名で出願しておき、後に会社を設立することがあります。 又、それまで個人事業としてやってきた事業を発展させて、法人を設立して事業を行うことも有ります。 その際、個人名義の権利を会社名義にする(つまり会社を権利者にする)ことがあります。 この場合、たとえ権利者がその会社の社長であっても、個人と法人とでは全くの「別人」であり、同一人の名前が変わったのではありませんので、「氏名(名称)変更」には該当しません。 「別人」に「権利を移転させる」ことになるので、「移転登録」という手続きが必要となります。 (2) 氏名又は名称が変更になった場合、変更しなくてもそれ自体に罰則があるわけではありません。 しかしながら、「権利行使」や「契約」などをする際に、権利者が誰であるのかをキチンとさせておく必要があるので、変更があった場合は早い目に変更の手続きをしておくことをお勧めします。 (3) 又、氏名又は名称の変更手続をしない場合のデメリットとして、特許庁に「別人と判断されてしまう」ことがあります。 例えば、「鈴木一郎」さんが「まいどまん」という商標について登録を受けて商標権を持っていたとします。その後、「鈴木一郎」さんが結婚して名前が「山田一郎」に変わったとします。 その後、氏名変更手続をすることなく、新しい名前の「山田一郎」で「マイドマン」という商標を出願したとします。 商標法では、(同一又は類似の商品・役務について)「他人の」登録商標と類似する商標は拒絶する(登録しない)こととなっています。 特許庁は「鈴木一郎」と「山田一郎」とは、他人(別人)と判断します。 氏名の変更手続きがされていないので、同一人物だと認定できないからです。 そのため、新たな商標「マイドマン」の出願は、「まいどまん」という「他人の」類似する登録商標が有ることを理由として拒絶されてしまいます。 これに対しては意見書を提出して「同一人である」ことを審査官に説明して拒絶査定を待ってもらうと共に、登録済みの「まいどまん」についての氏名変更手続をすれば「マイドマン」についても登録できる場合はありますが、余計な手間がかかりますし、登録も遅れることにもなります。 (尚、審査官は事情がわかれば待ってくれるとは思いますが、絶対に待ってくれるという保証は有りません。) そういう意味でも、氏名や名称が変わった際には、忘れないうちに変更手続きすることをお勧めします。 |
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