わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
団体商標 (だんたいしょうひょう) |
[団体商標(だんたいしょうひょう)] 団体がその構成員(メンバー)となっている事業者に使用させる商標のことです。 (1) 「商標」は自分の提供する商品又はサービス(役務)を他人の商品やサービスと識別するための名称やマークですから、原則として商標を自ら使用する者(又は使用する意志の有る者)が商標登録を受けることができます。 只、自ら使用する予定がなくても登録できる商標として「団体商標」があります。 知的財産に関する「パリ条約」という条約があるのですが、その中で「団体がその構成員に使用させる商標」についても保護することが決められており、日本でも「団体商標」として商標登録を保護しています。 団体商標は団体が自ら使用することもできますが、団体の構成員(メンバー)に使わせることを主な目的としていている点で、通常の商標と異なります。 (2) 登録を受けることができる者 団体商標の登録を受けることができる者は、当然「団体」なのですが、下記のような団体に限定されます。 (A) 民法34条の規定により設立された社団法人 (B) 特別の法律により設立された法人格を有する組合 (例えば、農業組合法により設立された農業協同組合などです) (C) 上記の(A),(B)に相当する外国の法人 です。 しかし、法改正が有り、この条件は緩和されます。 詳しくは下記の「関連事項」を参照下さい。 (3) 団体商標の登録を受けるための手続き 団体商標の商標登録出願をしますが、その際に、出願人が条件を満たす法人であることを証明する書面を特許庁長官に提出しなくてはなりません。 団体商標の出願も、通常の商標登録出願と同様に登録できるかどうか審査されます。 (4) 登録されると 団体商標が商標登録された場合、団体の構成員は、団体の定めるところにより、その団体商標を使用することができます。 通常使用権の許諾のような個別の使用許諾は不要です。 但し、「団体の定めるところにより」使用しなくてはならないので、団体の定めを無視した勝手な使用は認められません。 団体自らも使用することはできますが、「構成員に使用させる」というのが団体商標の前提です。団体のみが使用する商標は団体商標とは認められません。 団体商標の使い方の例としては色々あると思いますが、ある種製品についての業界団体がマークを登録して、構成員のメーカーに対して、所定基準を満たす商品に そのマークを使用させるような場合などが考えられます。 (「ウールマーク」のようなものをイメージしていただけるとわかりやすいと思います。) 団体商標を使用することにより、お客さんに「信用できる団体の構成員」であることを示すことができるので、商品の信頼度が向上します。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1)法改正 現在よりも団体商標の登録を受けることのできる者の範囲が拡大されます。 民法34条の規定により設立された社団法人だけでなく、その他の社団(「法人格を有しないもの」と「会社」は除く)も団体商標の登録を受けることができるようになります。 例えば、「商工会議所」,「商工会」,「NPO法人」,「中間法人」なども、団体商標の登録を受けることができるようになります。 (2)出願の変更について 出願人は、「団体商標」の商標登録出願について、「通常」の商標登録出願又は「地域団体商標」の商標登録出願に変更をすることができます。 その逆の変更も可能です。 但し、変更内容により所定の証明書面を提出しなくてはならない場合があります。 (3) 権利の移転について 団体商標は所定の要件を満たす団体にだけ登録を認めるという趣旨です。 そのため、団体商標の商標権を移転(権利移転)すると、移転後は通常の商標権に変更されたものとして扱われます。 但し、移転登録の申請時に、所定の書類を提出することにより、移転後も団体商標の商標権として移転することができる場合があります。 (4) 地域団体商標 いわゆる「地域ブランド」を保護する「地域団体商標」については 以前に説明しましたが、今回説明した団体商標とは「権利を受けることができる者」や、「商標の内容」が異なります。 |
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