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「審査請求料返還制度(しんさせいきゅうりょう へんかんせいど)」 |
審査請求料返還制度とは、 特許出願の取下などを条件として、一旦納付した審査請求料の半額を返還してもらえる制度のことです。 (1) 特許出願をしただけでは特許にはなりません。 出願の内容を特許庁の審査官が審査し、その審査を通らないと特許にはなりません。 更に出願をしただけでは審査をしてもらうことができず、出願とは別に「出願審査請求(以下、単に「審査請求」と言います)」の手続きをする必要があります。 この審査請求をする際には「審査請求料」という手数料を特許庁に納付する必要があります。 ちなみに、現行法では審査請求料は 168,600円+(請求項の数×4,000円) です。 (2) しかしながら、審査請求後に、その出願を審査してもらう必要性が低くなることがあります。 例えば、事業内容の変更や、更に別の技術の開発により その発明を使わなくなり、特許化するメリットが殆ど無くなった場合などが考えられます。 又、審査請求後に新たな先行技術が見つかって、審査で拒絶される(つまり、特許にならない)可能性が極めて高いことがわかることもあります。 このような場合、特許化をあきらめる代わりに 高い審査請求料を返してもらうことができれば、出願人は費用的な負担を軽減することができます。 又、特許庁も無駄な審査の手間を減らすことができ、その分、他の出願の審査を促進することができます。 そこで審査請求後、審査に着手する前の「出願」について、その「取下」又は「放棄」をして、審査請求料の返還を請求した場合には、審査請求料の半額を返還するという「審査請求料返還制度」ができました。 (3)返還の流れ まず、特許庁に特許出願についての「出願取下書」又は「出願放棄書」を提出します。 但し、審査官がその出願について審査に着手し、特許庁から所定の書類、例えば「拒絶理由通知」や「特許査定の謄本」等が出願人(又は代理人)に送られて来た後は、出願の取下や放棄をしても審査請求料返還を請求することができません。 既に審査に着手しているので、その後に出願を「取下」や「放棄」しても、審査に要する手間の軽減とならないからです。 そして出願の取下又は放棄から6月以内に返還請求を行います。 返還請求は「出願審査請求手数料返還請求書」を提出して行います。 これを提出しないと、出願の取下や放棄をしても審査請求料の返還を受けることができないので注意してください。 適切な返還請求があると、納付した審査請求料の「半額」が返還されます。 返還の方法としては、「現金による返還」と「予納制度を利用した返還」を選ぶことができます。 現金による返還の場合は、金融機関の口座に振り込みがあります。 予納制度を利用した場合は、予納残高に返還分がプラスされます。 (4) 詳しくは 特許庁のホームページ をご覧いただくか、特許庁審査業務部方式審査課(電話:代表03-3581-1101) にお問い合わせ下さい。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 平成18年8月9日から「全額返還措置」が実施されています。 これは平成18年8月9日から平成19年8月8日までの間に、審査着手前の特許出願について取下げ・放棄を行って返還請求すると、通常の「半額」ではなく「全額」返還されるという措置です。 「期間限定」ですので、審査請求後の出願の取下を検討している方には良い機会かもしれませんね。 (2) 「出願審査請求」の取下はできません。 この審査請求料返還制度を利用する場合は、「出願」の取下,放棄となります。 一度、出願の取下や放棄をすると、もう その出願については権利化することはできなくなります。 お間違いないように。 (3) 「審査請求料返還制度」や、今回の「全額返還措置」、更には近年の「審査請求料の倍額値上げ」などを見ていると、特許庁の「あまり審査をしたくない」という姿勢が良くわかります。 審査する件数を減らして、全体として審査に要する期間を少しでも短縮するための「努力」なのでしょうね。 (4) 出願の「取下」と「放棄」とは、昔は その効果に差があったのですが、現在では殆ど同じと考えてよいと思います。 (5) 「審査請求料返還制度」以前の問題として、審査請求をする前に、もう一度 本当に(高い審査請求料を払ってまで) 審査請求する必要があるのか、よく検討するようにしましょう。 又、出願前に先行技術調査はしていると思いますが、出願時には見つからなかった先行技術が見つかることもありますので、審査請求前に再度 先行技術調査をすることもお勧めします。 |
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