わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
[ 権利状況調査 (けんりじょうきょうちょうさ)] |
権利状況調査とは 権利化された後に、権利がどのような状態になっているのかを知るための調査のことです。 (1) 特許権や商標権などの権利には存続期間があり、一度権利が発生してもいずれ消滅します。 また、特許権や商標権などは、他人に譲渡することもできます。 そこで、権利発生後に、 「現在も権利は存続しているのか」 「権利の移転などで権利者が変わっていないか」 などを調べたい場合があります。 このような場合に、権利状況調査を行います。 (2) 調べ方としては特許庁の登録原簿を閲覧すればよいのですが、 特許電子図書館 を使えばオンラインで調べることができます。 例えば、「経過情報検索」のコーナーの「番号照会」で、調査したい特許番号(登録番号)等で調べれば、見ることができます。 (他の検索コーナーの検索結果からリンクして「経過情報」を見ることもできます。) 検索結果には、「基本項目」「出願情報」「登録情報」 がありますが、「権利状況調査」の場合は、「登録情報」を見ます。 すると、 「権利者の住所,氏名(名称)」 「移転登録申請書の提出日」 「年金(特許等を維持するために特許庁に納付する費用)の納付日」 「権利消滅日」 等の情報を見ることができます。 但し、特許電子図書館のデータ入力にタイムラグがありますので、ごく最近の情報については、記録に反映されていないことは あると思います。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 特許権者から侵害であると警告された人から相談を受けたことは何回もありますが、その中で、おかしな経験があります。 権利状況を調査したところ、特許権者は年金(権利を維持するために年毎に納付しなくてはならない特許料)を納付しておらず、権利は何年も前に消滅していました。 特許権は消滅しているのですから、少なくとも現在の実施は その特許権の侵害とはなりませんので、差止の対象とはなりません。 特許権消滅後も権利が存続していた時期の実施については損害賠償の対象となることはありますが、相談者は 権利消滅後に製造,販売を開始していたので損害賠償もする必要がありませんでした。 どうやら特許権者は年金納付を完全に忘れていたようで、まだ特許権が立派に存在すると思っていたようでした。 こういうこともあるので、侵害の警告を受けたような場合は、必ず権利状況調査をするようにしましょう。 また、反対に他人に警告する場合には、事前に自分の権利がどのような状態なのか確認するようにしましょう。 (2) 同じようなパターンで、更新登録をせずに、数年前に権利が消滅した商標権に基づいた警告を受けた人もいました。 たぶん、(元)商標権者は、一度 商標登録を受けると 一生 商標権が存続するのだと誤解していたのだと思います。 まるで 笑い話のようですが、案外 そういうことを知らない経営者の方もおられて、驚くことがあります。 大切な権利が自分の不注意で消滅しないよう気を付けたいですね。 (3) また、別の相談では権利状況を調査したところ警告をしてきたのが特許権者ではなく どうやら通常実施権者らしいことがわかりました。 通常実施権者には、「差止請求」などの特許権の行使が認められていないので、とりあえず 「通常実施権者には そんな権限はないですよ」 という旨の 返事を出しました。 予想では、その通常実施権者が特許権者に依頼して、特許権者から改めて警告書が届くと思っていたのですが、相談者に聞いたところ その後 何の連絡もなかったらしいです。 通常実施権者と特許権者との間で、話がうまくまとまらなかったのかもしれませんね。 |
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