わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
[デジュール標準 (de jure standard) ] |
デジュール標準とは、 公的な機関が認証することにより規格となっている標準のことです。 (1) 「標準」には色々な種類があるのですが、大きく分けて「デジュール標準」 と「デファクト標準」があります。 この内「デジュール標準」は、公的機関が所定の手続きを経て作成したものであり、例えば、国際標準化機構(ISO)、国際電気標準会議(IEC)などの機関が作成した国際規格があります。 「デジュール標準」の多くは国際標準ですが、JISなどの国内規格も該当すると思います。 (2) 知的財産用語として「標準」を取り上げることを不思議に思われる方もい らっしゃると思いますが、標準と知的財産権とは大きな関係があります。 標準になっている技術について特許権,意匠権などの知的財産権があることが多いのです。 標準は広く製品に使われてこそ意味があるのですが、知的財産権は独占権です。つまり、「他人に使用させる」という意味では、本来は標準と知的財産権とはかなり違う役割を持っているとも言えます。 そのような標準に関する知的財産権については、合理的にライセンスを認めて、標準が普及させることが望まれます。 例えば、ライセンス料を低い目に設定してライセンス契約をしやすくすることや、正当な理由無くライセンスを拒否しないような姿勢が求められます。 (3) 上記のように知的財産権と標準化は密接な関係があるため、近年では知的 財産部門と標準化部門とを統合して、総合的に管理する企業もあります。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 標準には、今回説明したデジュール標準以外に、「デファクト標準」 (デファクトスタンダード)があります。 デファクト標準は、公的な機関により定められた標準ではなく、市場で多くの人に受け入れられることにより事実上に標準のようになったものをいいます。 例えば、パソコンosについてのWindowsや、VTRについてのVHS等があります。 (2) ちなみに、上記の「デファクト標準」に含むことのできる標準として「フォーラム基準」や「コンソーシアム基準」があります。 これらは、複数の企業などからなる団体が作成した民間の標準のことです。「団体標準」と呼ばれることもあります。 (3) 昔、VTRの規格としてVHSとベータが激しく競っていたことを覚えている方も多いと思います。 今は、次世代DVDの規格として「HD DVD」と「ブルーレイ・ディスク(BD)」の両陣営が激しく主導権争いをしていますね。 どの規格が標準化されるにせよ、採用されなかった規格の陣営は、経済的にも精神的にも痛手が大きいと思います。特に一生懸命開発に携わった技術者の気持ちを考えると、心が痛みます。 同じ分野において別の規格を争わせることにより、より優れた規格を作ることは大切だとは思います。でも、痛手の小さい初期の段階で話し合って育てていく規格を一本化し、それ以降は一緒に協力して開発できれば無駄が少なくて良いとも思います。 実際には各企業の思惑や、面子,それまでの労力などを考えると、後にひけず簡単にはいかないのでしょうね。 (4) 標準があるということは、ユーザからしても便利な話しです。特に消耗品や交換する部材については標準化されていれば、互換性があるので入手しや すいですし、同じ規格で量産できるので価格も安くなります。 例えば乾電池,電球,ガソリン,ネジなどは標準化されているので、どこでも安く入手可能ですね。 そう思うと、デジタルカメラ用の記録メディアについては、企業の思惑もあって異なる規格のものが乱立し、ユーザはメーカーの都合に振り回されたような気がします。 デジカメ用の記録メディアとしては「スマートメディア5Vタイプ」,「スマートメディア3.3Vタイプ」,「CFカード」,「メモリーステッィク」,「マルチメディアカード」,「SDカード」,「xDピクチャーカード」など多数の種類があり、デジカメを買い換えるたびに新しい記録メディアを買わされたことや、デジカメ購入の選択余地が狭くなったことが思い出されます。 (5) 標準化を考える場合、日本国内だけでなく国際的な標準を視野に入れる必要があります。 日本でよく売れている機器でも、国際的な標準に合致していないために、海外でそのまま販売できないというような話を何回か聞いたことがあります。 しかも国際的な標準については欧米中心で作られる傾向が強いとも聞いています。我が国も国際的な標準を作るのに積極的に参加できるようになれると良いですね。 |
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