わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
包括委任状 (ほうかつ いにんじょう) |
包括委任状とは、 委任した代理人(弁理士)に対して、包括的な代理権を与える書面です。 (1) 「弁理士」は出願人から委任を受けた「代理人」です。 代理人がした手続きは本人(委任した出願人など)が正式に行った手続きとして扱われます。 「確かにこの人に委任しましたよ。この人は私の代理人ですよ。」ということを証明するために特許庁に提出する書類が「委任状」です。 (2) 原則として「委任状」は出願毎に作成,提出するのですが、継続的に何件も同じ代理人に依頼するような場合は、依頼者にとっても、代理人にとっても 毎回 委任状を作成するのは手間がかかります。 また、「委任状」は紙の書類ですので、電子情報を送信するオンライン出願では送ることができません。そのため、別途郵送することとなり手間がかかります。 そのようなことを考慮して、複数の出願等についてまとめて(包括的に)委任できるようにしたのが、「包括委任状」です。 (3) 例えばAさんから「包括委任状」をもらった弁理士が特許庁に提出すると、「包括委任状番号」が発行されます。 それ以降、その弁理士がAさんの手続きをする場合には、提出する書類に「包括委任状番号」を書けば、委任状を添付したのと同様に扱われます。 (4) 包括委任状の内容としては 「私は、識別番号***** 弁理士 ****氏を以て代理人として、下記事項を委任致します。」 のように委任する弁理士を明記した上で、 「すべての特許出願、特許権の存続期間の延長登録の出願、実用新案登録出願、意匠登録出願、商標(防護標章)登録出願及び商標権(防護標章登録に基づく権利)存続期間更新登録出願に関する手続並びにこれらの出願に関する出願の放棄及び出願の取下げ」 「すべての特許権、実用新案権、意匠権、商標権及び防護標章登録に基づく権利並びにこれらに関する権利に関する手続並びにこれらの権利の放棄並びにこれらの手続に関する請求の取下げ、申請の取下げ及び申立ての取下げ」 のように 委任事項を列記するのが一般的です。 ここで、「すべての・・・」というところが 包括委任状の特徴です。 (実際には上記以外にも、いろいろと委任事項があります。) ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 昔は、出願などの手続を委任する場合、「代理権を証明する書面」として 「委任状」を添付する必要がありました。 でも、今では出願変更、取り下げ、審判請求等の特定の手続に限って添付が求められるようになりました。 したがって、現在では出願の際に委任状を添付して特許庁に提出する必要はありません。 (後日、必要になれば そのときに提出すればよいです。) これにより、出願手続が簡単となり、よりスムーズに行えるようになりました。 (2) 包括委任状は1枚で複数の案件について代理権を与えます。 そのため、万一、代理人が包括委任状を悪用して勝手な手続きをすれば、委任した人(出願人や権利者等)は大きな損害を被ることになります。 (理論上は依頼者の持っている複数件の特許権や商標権を放棄することもできます。) 昔、企業の知財部門に勤務していた頃、代理人に包括委任状を出すことについては慎重でした。 初めて依頼する代理人(弁理士)が、いきなり「包括委任状」を要求してきたので、断って通常の委任状で対応してもらったこともありました。 その時点では、まだ その代理人との間で十分な信頼関係が築けていなかったためです。 |
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