「わかっちゃう! 知的財産用語 (特許,商標などの用語解説)」

さかな  わかっちゃう  知的財産用語
特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 
さかな


LLP(エルエルピー)


  LLP とは


 「有限責任事業組合」という事業体のことであり、

  Limited Liability Partnership の略です。



(1) 元々は米国などでみられる事業体ですが、日本でも数年前から
  「有限責任事業組合」
 として設立できるようになりました。


 複数の者が事業組合を作って事業活動をするために設立され、ジョイント・ベンチャーや共同事業などに利用されることがあります。



(2) LLPの特徴としては


 (A) 有限責任なので出資者(組合員)が出資額の範囲内で責任を負えばよいこと。


 (B) 出資額に拘わらず、利益の配分や権限などを自由に決めてよいこと。

 (C) LLP自体には課税されず、出資者に直接課税されること。


等があります


 詳しいことは 法務局か、会社設立の仕事をしている行政書士に問い合わせると良いと思います。



(3) LLPには 法人格が有りません。

 したがって、LLP自体は 特許や商標登録などの出願人になることも、特許権者,商標権者などの権利者となることもできません。


 そのため、LLPの事業と関連して特許や商標登録を受けたい場合は、組合員が共同出願することとなり、登録を受ければ組合員が共有する特許権,商標権等となります。


(4)
 特許権,商標権などが「共有」の場合、共有者は他の共有者の同意があれば自分の持分を他人に譲渡することが可能ですが、LLPに関する権利は その性格上、組合外部の者に分割譲渡されるべきではありません。

(実質的にLLPの権利として保持することが望まれるからです。)


 そこでLLP関係の権利については登録原簿上にその特許権,商標権等がLLPの財産である旨の表示をすることができます。


 例えば、特許出願等の願書に各組合員の持分とともに、LLPの財産である旨を記載しておけば、登録の際に登録原簿に記録されます。


 尚、LLPの財産については「共有」とはいわずに「合有」という言葉を使って説明されることが多いです。

 組合の財産であり、各組合員が持分を自由に処分することができないことを明確にするために、あえて「共有」ではなく「合有」という言葉を使っているのだと思います。

 
               ☆              ☆


[関連事項と経験談]


(1)
 知的財産関係については、「ジョイント・ベンチャー」,「共同開発」などでの利用が期待されているようなのですが、私には LLPのメリットが まだ十分に理解できていません。


 当事者間で契約をしっかりしておけば、別にLLPを作らなくても良いのではないかとも思います。


 また、出資額にもよりますが「有限責任」となると、対外的な信用は小さくなってしまい、事業活動がしにくいようにも思えます。


 いずれにせよ、LLPが今後どのように利用されていくのか注目していきたいと思います。



(2)
 ときどき「LLP」と「LLC」とを 混同しておられる方がいますが、両者は別物です。


 「LLC」というのは  「Limited Liability Company」  のことで、
日本では類似形態として「合同会社」があります。


 細かな説明はしませんが、「合同会社」は法人格を有している点が、LLCとの大きな違いです。



(3) 余談

 最初に「LLP」と聞いたとき、「女子プロレスの団体」かと思いました。

 (あれは「LLPW」ですね (^^;) )


 それにしても 「LLP」,「LLC」,「NPO」,「NGO」,「PKO」のような略称をたくさん見かけます。


 略称は長い名前を表記しなくて良いので便利ですが、よく似た語感の略称が増えると間違う人も出てくるでしょうね。



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