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私的録音録画補償金制度 |
私的録音録画補償金制度とは デジタル機器を使って私的に録音又は録画をする者が、権利者に補償金を支払わなくてはならないという制度のことです。 (1) 著作権法では、他人の著作物を無断で複製(コピー)することを禁止しています。 しかし、例外として「私的使用」を目的とした複製は、認められています。「私的使用」とは、「個人的に又は家庭内などの限られた範囲内において使用すること」です。 つまり私的使用の範囲内で有れば、無断で著作物を複製することができます。 (2) しかしながら、近年ではデジタル機器の発達により、オリジナルと同じ品質のコピーを大量に、安く、短時間で複製することができるようになりました。 そうなると、デジタル機器の利用者にとっては大変便利になりますが、著作権や著作隣接権者(演奏家など)の利益が損なわれることも考えられます。 そこで両者の利益を調整するために、平成5年に「私的録音録画補償金制度」が始まりました。 これにより、たとえ私的使用であっても、所定のデジタル機器を利用して録画・録音する場合には利用者から権利者(著作権者や著作隣接権者)に補償金を支払うことになりました。 (3) 実際には 利用者が複製するたびに いちいち権利者に補償金を支払うのは面倒ですので、メーカーが所定のデジタルの録音・録画機器やメディア(記録媒体)を販売する際に、消費者から徴収するようにしています。 つまり、CD−R、DVD−Rなどのデジタル録音・録画機器や録音・録画用のデジタルメディアを買った場合、商品代金に私的録音録画補償金が含まれていることになります。 具体的な補償金の額は機器1台あたり400〜500円程度とのことです。 又、メディアについては1枚あたり4円程度らしいです。 メーカーが徴収した補償金は、管理団体を経て権利者に分配されます。 (4) 上記の管理団体としては 「社団法人 私的録音補償金管理協会」 と 「社団法人 私的録画補償金管理協会」 の 2団体があります。 その名の通り、前者は「録音」と後者は「録画」の補償金を管理します。 (5) 補償金は権利者に分配されますが、徴収した全ての補償金が分配されるのではなく、20%は著作権教育や、著作権についての調査研究などの事業に使われています。 (6) 詳しくは 文化庁 に お問い合わせ下さい。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) あくまで「私的使用」の場合ですので、それに該当しない場合、例えばCDをCD−Rに無断でコピーし、そのCD−Rをネットオークションで売ったり、友達にプレゼントしたりすることは違法となります。 (2) CD−Rのメディア(記録ディスク)を売っている店に行くと、パッケージに「音楽用」と書かれたCD−Rを見かけることがあります。 同じメーカーの、同じ容量の商品でも、「音楽用」の方が少し高額です。「音楽用」には「私的録音補償金」が付加されているからでしょう。 「音楽用」のディスクには音楽用であることを判別する信号が記録されており、一部の音楽録音用CDレコーダを使って録音する場合は、その信号がある音楽用ディスクでないと録音できないそうです。 ただ、現状を見ますと専用の「音楽録音用CDレコーダ」で録音している人よりも、パソコンでCD−Rに録音している人の方が多いと思います。そして、パソコンでは音楽用ではない普通のCD−Rにも録音することができます。 その意味では、「音楽用」として「私的録音補償金」を徴収するやり方は、どの程度効果が有るのか疑問です。 尚、「音楽用」として売られているCD−Rは、音楽とは関係のないデータを記録することもできます。 (3) 私的録音録画補償金制度では、パソコンや 新たに登場してきた携帯デジタルオーディオ機器については対象としていません。 対象となる機器は政令で具体的に指定しているため、簡単に追加できないのだそうです パソコンや、今後 次々と登場する デジタル機器について どのように対処するのか 気になります。 (4) あまり録音・録画しない人でも、多数録音・録画しない人でも 補償金が同額というのは不公平感が有ります。 また、集めた補償金の分配についても、権利者に公平に分配するのは なかなか難しいのではないかと思います。 そのような点も含めて、この 私的録音録画補償金制度 の内容を見直そうという考えもあるようです。 |
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