わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
発信主義 (はっしんしゅぎ) |
発信主義とは、 書類を郵便局に差し出した日時に、その書類が特許庁に到達したとみなす扱いのことです。 (1) 通常、郵便で役所に書類を送って手続した場合、その書類が役所に到達した時になされた手続として扱われます。 これを「到達主義」と言います。 (2) 特許出願,商標出願などの窓口となる特許庁は日本に1カ所(東京都)しかありません。 郵送により書類を提出することもできますが、遠隔地から送った場合、特許庁に配達されるまで時間を要してしまいます。 ところが特許法,商標法などでは「先願主義」、つまり1日でも先に出願した者に権利を付与するとする主義が採用されています。「早い者勝ち」の世界ですので、1日でも早く出願した人が有利となります。 また、到達主義ですと 提出期限のある書類を提出する場合に、遠隔地の人は配達に要する分だけ書類を作成する時間が短くなってしまいます。 つまり出願や提出期限のある書類に関しては、到達主義だと 特許庁の近くに住んでいる人に比べて、遠隔地に住んでいる人が不利になってしまいます。 そこで、そのような地理的な不平等を解消するために、出願書類や提出期限の定められた書類については、郵便局に差し出した日時に書類が特許庁に到達したとみなす「発信主義」が採用されています。 (3) 出願だけでなく、期限の定められた手続、例えば出願審査請求書や、拒絶理由通知に対する意見書なども発信主義です。 特許庁に提出する書類でも、期限の定められていない書類、例えば「住所変更届」や「移転登録申請書」などは発信主義ではなく、到達主義です。 (4) 発信主義は郵便局に差し出した「日」だけでなく「時刻」も対象となりますが、実際には「時刻」が問題とされることはほとんどないです。 ちなみに、同じ日に同じ発明について複数の出願があった場合は、時刻を問わず「同日出願」として扱われます。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 2007年10月1日に郵政公社が民営化されましたね。 それに伴って、郵便法が改正されました。この改正によって「小包」は「郵便物では無い」ことになりました。 そのため、小包で書類を送った場合は、発信主義ではなく、実際に特許庁に到達した日に提出したとして扱われます。 具体的には 「ゆうパック」 「EXPACK500」 「ポスパケット(簡易小包)」 「冊子小包」 は郵便物ではなく、「到達日」が提出日となります。 差し出し日と到達日とは せいぜい数日程度の違いだと思いますが、その数日の差で他人の出願より出願日が遅くなることや、手続の期限に間に合わなくなるようなことも考えられますので、十分注意してください。 (2) 商標の登録異議申立てや無効審判のように証拠書類を添付する際に、証拠書類が多すぎて 封筒に入らない事もあります。 定形外郵便でしたら封筒だけではなく、ダンボール箱に入れて送ることもできますので、ご参考までに。 定形外郵便は郵便物として扱われます。 (3) 宅配便会社の 宅配便 や メール便などは もともと発信主義の対象にはなっていません。 (4) 郵便局に差し出した日が特許庁に到達した日と扱われるのですから、郵便局に差し出した日が明確でなければなりません。 そのため「消印の日付」が大切となります。しっかり日付がわかるように消印を押してもらいましょう。 近年はオンラインの手続きが普及しているので郵送の機会は減りましたが、郵送で手続きしていた頃は、郵便局の窓口で毎回しつこいほど 「消印は日付がはっきりわかるように押してください」 とお願いしていたのを思い出します。 |
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