わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
「タイムスタンプ」 |
タイムスタンプ とは、 ある電子データが「ある時刻に存在していたこと」と、「その時刻以降に内容が変更されていないこと」を証明する仕組みのことです。 (1) タイムスタンプは「電子データ」に「時刻データ」を結合させることにより、ある時刻にその電子データが存在していたこと、更にはそれ以降に電子データの内容が変更されていないことを客観的に示そうとするものです。 (2) 一般に、ある時点において存在していたこと証明する手段としては、公証人役場で確定日付印を押してもらうことや、内容証明郵便を利用することが考えられます。 ただ、それらはコストや手間や時間がかかります。また、近年では情報の多くは電子化されているので、電子データについて存在証明ができれば便利です。 そこで、電子データの存在証明が簡便にできる手段としてタイムスタンプが期待されています。 タイムスタンプは いろいろな分野での活用が期待されていますが、知的財産の分野でも注目されています。 (3) 著作権は著作物が創作されれば自動的に発生しますが、未発表の著作物については創作の事実を証明するのは難しいです。 そこで、少なくとも ある時刻には、その著作物が存在していたことを証明するための手段としてタイムスタンプを利用することが考えられます。 タイムスタンプは電子データについてのものですので、アナログ情報は電子化する必要があります。そのため絵画,音楽などについては電子化した画像データや音声データにタイムスタンプを付与することになると思います。 (4) 特許については特に「先使用権」との関係でタイムスタンプの利用が期待されています。 発明を特許出願せずにノウハウとして秘密にしておくことがあります。 その場合、仮に他人が同じ発明について特許権を得た場合でも、先使用権が認められれば無償で発明の実施を継続することができます。 但し、先使用権が認められるためには、他人の特許出願より前から同じ発明を実施又は準備していたことを証明しなくてはなりません。 そのことを証明するために、実験記録、研究ノート、開発日誌、報告書、企画書、設計図、事業計画書、見積書、カタログ、取扱説明書などを証拠として提出するのですが、それらの証拠が存在した時刻を証明する手段の一つとしてタイムスタンプの利用が注目されています。 (5) タイムスタンプには、法的な確定日付効はありません。つまり裁判所はタイムスタンプの信頼性などを考慮して有効な証拠として採用するかどうか独自に判断します。 タイムスタンプの信頼性を高めるためには、タイムスタンプ自体の技術的な信頼性を高めて偽造や改ざんなどされないようなシステムとする必要があります。 また、タイムスタンプのシステムを運用する機関の信頼性も大切でしょう。公的な機関、又は信用のある機関が運用するシステムであれば信頼性は高くなると思います。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 「タイムビジネス協議会」 という団体が タイムスタンプを利用した時刻認証サービスなどの「タイムビジネス」について協議や啓蒙などをしています。 (2) タイムスタンプには保証できる有効期間があるそうです。長期の保証のためには更新(延長)の手続をすることになるようです。 (3) タイムスタンプのシステムとしては 小規模のから大規模なものまで いろいろ検討されていますが、現状では まだ一般化していません。今後 タイムスタンプが どの様に普及していくのか興味があります。 |
わかっちゃう! 知的財産用語のトップに戻る |
メルマガ(2誌) 好評発行中 (無料) |
「商標・サービスマーク」 ど〜んと来い! (マガジンID:0000117418)
メールマガジン登録
西川特許事務所のトップページ |
西川特許事務所 所長 弁理士 西川 幸慶 住所 兵庫県西宮市東山台3丁目9−17 電話 0797-61-1841 FAX 0797-61-1821 Eメール pat@jpat.net |