わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
[リバースエンジニアリング(Reverse engineering)] |
リバースエンジニアリングとは、 他社製品を分解,分析等して、その製品に使われている技術等を調査する手法のことです。 (1) 装置の詳しい設計図などは、メーカーのいろいろな技術が盛り込まれているため、外部には公表されないことが多いです。 公表されていない技術について他人が知りたい場合、販売されている製品を買ってきて分解し、リバースエンジニアリングによって、その構造を調査,分析することがあります。 リバースエンジニアリングは、極端にいえば、「製品から設計図を作る」ような手法とも言えます。 (2) 機械等の装置だけでなく、いろいろな製品についてもリバースエンジニアリングが行われています。また、ソフトウエアについてもリバースエンジニアリングが盛んに行われています。 (3) リバースエンジニアリングを使って他社の技術を調べる目的としては いろいろ考えられます。 例えば 「ライバル会社の技術レベルの把握」 「他社の優れた技術を認識して、それ以上の製品を作るための参考にする」 「売れている他社製品の互換品や、互換性のある部品や消耗品を作って売り出す」 等が考えられます。 悪質な場合は、「コピー商品を作る」ためにリバースエンジニアリングを行うこともあると思います。 (4) 購入するなどして合法的に入手した装置等を、リバースエンジニアリングすること自体は違法ではありません。 しかしながら、リバースエンジニアリングにより得られた情報をそのまま使うと、権利侵害となる場合があります。それらが特許権,著作権などで保護されている場合もあるからです。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 発明を特許出願せずにノウハウとして保護することがあります。 特許の場合は、独占期間が有限であり、しかも内容が公開されてしまうので、保護期間に期限がないノウハウとして保護しようという考え方です。 しかしながら、ノウハウとして保護する場合は、その内容が外部に知られないように秘密にしておく必要があります。 その点、リバースエンジニアリングにより製品を分析されれば、その技術が容易に知られてしまうような場合は、秘密性が確保できないのでノウハウとしての保護には向きません。 (2) リバースエンジニアリングを行えば、単に装置等の構造だけでなく、その他の情報、例えば部品の製造業者,コストなどを知るのに役立つ情報も得られることがあると思います。 (3) 他の会社からの委託を受けてリバースエンジニアリングを専門的に行うような会社も有るようです。 (4) ソフトウエアを買うと利用許諾契約に「リバースエンジニアリング禁止」の条項が設けられていることがあります。 そのような場合、リバースエンジニアリングを行えば契約違反ということなるのでしょうが、実際には その事実を見つけるのは難しいのでしょうね。 (5) 余談 分解調査という話しを聞くと、1976年のベレンコ中尉亡命事件を思い出してしいます。若い人は ご存じないかもしれませんが、函館空港に旧ソ連の新型戦闘機MiG−25が亡命のため着陸した事件です。 当時秘密のベールに包まれたMiG−25に脅威を感じていた日本と米国は、ソ連の即時返還要求に応じず、機体を分解調査しました。 あの時はソ連軍が機体を奪還又は破壊しに来るのではないかと緊張した記憶があります。ちなみに機体は、調査後にソ連に返還されました。 |
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