わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
歴史上の人物名 |
歴史上の人物名とは、 周知・著名な実在した故人の人物名のことです。 (1) 他人の「氏名」については、その人の承諾を得なければ登録を受けることができません。主に人格権を保護する趣旨です。 ここでいう「氏名」とは現存する人の氏名のことです。そのため、他人の「氏名」であっても、故人については商標登録されることがあります。 (2) 故人の中でも歴史上の有名な人物の名前については、その人物の名声やイメージなどがあるため、その氏名を商標登録して利用したいと思う人が出てきます。 例えば、ちょっと調べただけでも 「武田信玄」 「上杉謙信」 「織田信長」 「豊臣秀吉」 「伊達政宗」 「徳川慶喜」 「松尾芭蕉」 「真田幸村」 「坂本龍馬」 「高杉晋作」 「吉田松陰」 「福沢諭吉」 などの 登録商標が見つかりました。 (3) しかしながら、歴史上の人物が生まれ育った地元の人達にとっては、その歴史上の人物は地元の英雄であったり、愛すべき人であったりします。 そのような地元の偉人,英雄などの名前が、私企業に商標登録されて商売に利用されるのは愉快ではありません。 そのため、以前から歴史上の人物の名前については、登録しないで欲しいという要望が出ていました。 (4) そのような実情を配慮して、特許庁は商標法の解釈や運用について記載している「商標審査便覧」を改訂しました。 改定では「歴史上の人物名からなる商標登録出願の取り扱いについて」という項目が追記されました。 内容の要旨は 「歴史上の人物名からなる商標登録出願の審査においては、商標の構成自体がそうでなくとも、商標の使用や登録が社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合も商標法第4条第1項第7号に該当し得る」 というものです。 ここで第4条第1項第7号というのは「公序良俗に反する商標は登録できない」という内容の規定です。 また、商標審査便覧では第4条第1項第7号に該当するかどうかは、下記のような事情を総合的に勘案するとしています。 「当該歴史上の人物の周知・著名性」 「当該歴史上の人物名に対する国民又は地域住民の認識」 「当該歴史上の人物名の利用状況」 「当該歴史上の人物名の利用状況と指定商品・役務との関係」 「出願の経緯・目的・理由」 「当該歴史上の人物と出願人との関係」 歴史上の人物名については絶対に商標登録しないということではなく、上記のようなことを勘案して総合的に判断するということです。 そのため歴史上の人物名であっても、登録できる場合はあります。 只、登録は以前より困難になります。 (5) 詳しいことは 特許庁のホームページ を ご覧下さい。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) これから出願される商標だけでなく、既に出願されている商標についても、上記のような解釈のもとで審査されます。 (2) 「周知」というのは「有名でよく知られていること」、「著名」というのは「周知」よりも更に有名ということです。そのため故人の氏名であっても、全然有名でなければ「歴史上の人物名」としては扱われません。 (3) 歴史上の人物には外国人も含まれますので 「マイケル ジャクソン」 のような商標は、今後 更に登録が困難になると思われます。 「歴史上の」というのは「故人」であることを意味しますので、何年前に亡くなったかは関係ありません。 まだ実感できないのですが、マイケル ジャクソン も歴史上の人物になったのですね。 (4) 会社勤務していた頃、たまたま上司(課長と部長)は2人とも鹿児島県出身でした。上司は いずれも子どもの頃から「西郷さん(西郷隆盛)のような立派な人になれ」と言われて育てられたそうで す。 鹿児島県では西郷さんは すごい英雄なんだなーと思いました。 そう言えば、以前TV番組の企画で 「鹿児島県で西郷さんの悪口を言ったら叱られるか」 という実験して、実際にタレントさんが鹿児島県民から叱られていたのを思い出しました。 ちなみに私は京都出身ですが、あまり地元の英雄等について意識しないで育ちましたので、直ぐには地元の英雄が思い浮かびません。いろいろ考えたのですが、菅原道真(天神さん)かもしれません。 |
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