わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
過失の推定(かしつのすいてい) |
過失の推定とは、 権利の侵害行為があった際に、「侵害者に過失があった」と推定することです。 (1) 一般に 権利者が損害賠償請求をする場合、侵害者に「故意又は過失」があったことを立証しなくてはなりません。 しかし侵害者の故意や過失を立証するというのは、権利者にとって結構たいへんなことです。 特許権,意匠権,商標権などの権利侵害に関しては、権利者の保護の見地から「過失の推定」が働きます。 つまり、特許権者,意匠権者,商標権者等は、権利侵害に対する損害賠償請求をするに際して侵害者の故意又は過失を立証する必要がありません。 そのため、侵害者に対する損害賠償請求が しやすくなります。 (2) 特許や商標登録などは、その内容が登録原簿に記録される共に、公報に掲載されます。これらは誰でも見ることができます。ちなみに、特許電子図書館を利用しても内容を知ることができます。 事業者としては これらに注意を払う義務があり、「知らなかった」ことは「注意義務を怠った」と判断されてしまいます。 尚、このように過失の立証責任を、権利者ではなく侵害者に負わせることを「立証責任の転換」といいます。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 過失の推定が はたらくため、権利侵害して訴えられた場合、 「権利があることなんて 知らなかった。悪意は無く、知らなかっただけだから許されるべき。」 という言い訳はできません。 たまに、特許相談で 「権利があることを(本当は知っているが)知らなかったということにしておけば、もし権利者に見つかっても 直ぐに実施(製造,販売など)をやめて、謝ればいいだけでしょ。」 というようなことを言う方がおられます。 しかし直ぐに侵害行為を中止しても、権利者は過去の侵害についての損害賠償を請求することができます。 実際に損害賠償を請求するか否かは権利者の考え方にもよりますが、少なくとも「権利の存在を知らなかったら、侵害しても許される」という考え方は間違っています。 (2) 登録後も所定の期間内において登録された意匠が公開されない「秘密意匠」という制度があります。この場合、秘密期間中、第三者は意匠権の存在を知り得ません。 秘密になっていて内容を知ることができないのですから、注意義務を怠ったことになりませんね。 したがって 秘密とされている期間中は、「過失の推定」が はたらきません。 でも、秘密期間が終了すれば登録内容が公示されるので、それ以降は「過失の推定」が働くようになります。 |
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