わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
信用回復の措置 (しんようかいふくのそち) |
信用回復の措置 とは、 権利侵害によって害された権利者の業務上の信用を回復するための措置のことです。 (1) 特許権,商標権などが侵害された場合、権利者は民事上の救済を受けることかできます。 救済としては「侵害行為の差止の請求」、「損害賠償の請求」などがありますが、「信用回復の措置の請求」も救済の一つです。 (2) 権利の侵害行為により権利者の業務上の信用が害されることがあります。 たとえば質の悪い商品に、登録商標(商標権のある商標)を無断で使用され、それによって需用者の多くが「この商標のつけられた商品は粗悪品だ」と信じてしまうことがあります。 すると、その商標が持つブランドの失墜を招き、商標権者は業務上の信用を失います。 そこで、侵害者の故意又は過失によって、権利者の業務上の信用が害された場合、権利者は信用回復の措置を請求することができま す。 この権利は、「信用回復措置請求権」と呼ばれます。 (3) 訴訟において権利者が信用回復のための措置を請求した場合、裁判所は侵害者に対して権利者の信用回復のための措置を命ずることができます。 具体的な「信用回復の措置」としては、新聞や業界紙等への謝罪広告の掲載などがあります。 (4) 裁判所は、特許権者,商標権者などの権利者からの請求があった場合に限り、侵害者に信用回復の措置を命じます。 したがって、権利者が請求しない場合には命じることはありません。 また権利者からの権利者の請求があれば、必ず裁判所が信用回復の措置を命じるというものでもありません。 「裁判所は・・・命じなければならない。」ではなく、「裁判所は・・・命ずることができる。」と規定されているのはそのためです。つまり請求があった場合、命じるかどうかは裁判所が判断するのです。 たとえば、侵害行為があっても「権利者の業務上の信頼が害された」と判断されないような場合があります。そのような場合、権利者が請求しても、裁判所は「金銭賠償による被害回復で十分であり、謝罪広告の必要まではない」と判断し、信用回復の措置は命じません。 (5) また、信用回復の措置が命じられる場合でも、「被害回復に必要な限度にとどめるべき」との判断によって措置に制限を加えることもあります。 たとえば、権利者が「新聞(全国紙)」と「業界紙」と「カタログ」と「ホームページ」への謝罪広告掲載を求めても、信用が害された程度などを考慮して要求が過大であると判断し、「カタログ」「ホームページ」への謝罪広告のみ命じるようなこともあります。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 「信用回復の措置」は「損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに命ずることができる」と規定されています。 つまり、「損害賠償」と「信用回復の措置」の両方が同時に命じられることもあります。 (2) 謝罪広告を出すということは 自分が悪かったことを社会に公表することですから、恥ずかしいことですし、大きなイメージダウンにつながります。 また、複数の新聞全国紙に広告を掲載しなくてはならないような場合は、掲載に大きな広告費用がかかり、費用的負担も大きいです。 場合によっては損害賠償以上に大きなダメージとなるので、企業は謝罪広告の掲載はできるだけ避けたいと考えています。 |
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