わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
要約書(ようやくしょ) |
要約書とは、 出願する発明の概要を書いた書類です。 (1) 「要約書」は特許出願の際に特許庁に提出することが義務づけられています。 (実用新案登録出願の場合も同様です。) 出願された発明の概要が素早く的確にわかるように平成2年の法改正より採用されました。 (2) 出願した内容は特許公開公報などの公報に掲載されますが、その際に「要約書」に書かれた内容が、公報のフロントページ(第1頁)に掲載されます。 これにより、公報を全部読まなくてもフロントページを見るだけで、その発明の要点がわかります。 又、要約書の内容は特許庁のデータベースである「特許電子図書館」でも利用されています。 (3) 「要約書」には、「要約」と「選択図」を記載します。 「要約」は発明の概要をわかりやすい文章で簡潔に書きます。文字数は400字以内とされています。 具体的には、発明が解決しようとする課題や、その課題を解決するための手段などを書きますが、各記載事項には「【課題】」、「【解決手段】」などの見出しを付けます。 (4)次に「選択図」ですが、これは、願書に添付した図面の中から、発明の概要がわかりやすい図面を「1つだけ」選択し、その「図の番号」を書きます。 例えば、 【選択図】図1 のように図の番号を書くだけで、図自体をここに書くわけではありません。 (公報に掲載されるときには、原則として選択した図が掲載されます。) 願書に図面を添付しない場合(つまり図面無しの出願の場合)は、 【選択図】なし と書きます。 (5) 要約書の書式のイメージとしては下記のような感じになります。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 【書類名】要約書 【要約】 【課題】 (ここに発明が解決しようとする課題を書きます) 【解決手段】(ここに上記の課題を解決するための手段などを書きます) 【選択図】 図1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 要約書に書いた内容は、特許された発明の権利範囲を定める際には考慮されません。 要約書は技術情報として調査等の便宜を図るためのものだからです。 (2) 公報に掲載される際に、要約書の記載内容が不適切又は不十分であるような場合は、要約書に書かれた内容の代わりに特許庁長官が作成した事項が掲載されることもあります。 (もちろん実際には長官が自分で作成しているのではなく、特許庁の担当職員が長官の指示の下で作成します。) (3) 要約の文字数は「400字以内」ということになっていますが、複雑な発明だと、どうしても400字を超えてしまいやすいです。 その場合は要約を更に短くするのですが、発明の概要がわかるようにしつつ文字数を減らすのはなかなか大変です。 (4) 現在ではデータベースを利用した特許調査が普及してきましたが、昔は図書館や特許庁や会社の資料室に行って公報を「手めくり」で調査していました。 今でも 細かな調査になるとデータベース調査だけでは十分でないので、「手めくり」調査が必要な場合が有ります。私も企業の特許部門に勤務していたときは、他社の特許を潰す資料を探すために、よく手めくり調査をしていました。 (ちなみに このような手めくり調査をする専門の方を「めくり屋」と呼ぶことが有ります。) 近年では要約と選択した図がフロントページに掲載されているおかけで、このような手めくりの調査も、やりやすくなりました。 |
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