わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
観念類似 (かんねん るいじ) |
[観念類似(かんねん るいじ)] 比較する2つの商標が「意味的に類似する」ことです。 例えば「キング」という商標と、「王」という商標は、意味がほとんど同じなので「観念類似」とされます。 (1) 商標権は全く同じ商標だけでなく、登録を受けた商標と類似する(似ている)商標にまで権利が及びます。 又、商標登録を受ける場合にも、他人の登録商標との類似が問題となります。 そのため、商標が「類似」するかどうかという判断は、商標の登録や権利行使(差止請求や損害賠償請求)を考える上で、とても重要です。 (2) その「商標の類似」を判断する際に、比較対象となっている両方の商標 の意味が類似するか(似ているか)どうかが、判断ひとつの要素となります。 両者の「意味」が類似していれば、商標は観念類似であると判断されます。 (3) 同じ意味の「英語」と「日本語」というのが代表的な例ですが、同じ意味を持つ単語が全て観念類似とされるわけではありません。 (ややこしいですね。) 例えば、日本では非常にマイナーな英単語であれば、普通の人はその英単語を見ても意味がわからず、同じ意味の日本語の単語をイメージできないことがあります。 このような場合は、仮に辞書でよく調べれば同じ意味であることがわかるとしても、観念類似に該当しないと判断されることがあります。 時代により外国語の単語の普及程度は違いますので、同じ単語でも時代により観念類似に該当するかどうかの判断も変わってくると思います。 (4) 観念類似と判断される場合としては、「英語」対「日本語」の関係以外 にも、「ドイツ語」対「日本語」、「フランス語」対「日本語」、「英語」 対「ドイツ語」、「日本語」対「日本語」など いろいろな場合があります。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 商標の類似を判断する際には「観念」の他に、「称呼(発音,読み方)」 や「外観(見た感じ)」も判断の要素となります。 原則として「称呼」,「外観」,「観念」のいずれか一つでも類似すれば、商標は類似すると判断されます。 そのため、「称呼」,「外観」が類似していないとしても、「観念」が類似している場合は全体として商標が類似していると判断されます。 (2) (参考) しかしながら、最高裁判所は次のような見解を示しています。 「商標の類否は、同一又は類似の商品に使用された商標が外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである。 商標の外観、観念又は称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所を誤認混同するおそれを推測させる一応の基準にすぎず、したがって、右三点のうち類似する点があるとしても、他の点において著しく相違するか、又は取引の実情によって、何ら商品の出所を誤認混同するおそれが認められないものについては、これを類似商標と解することはできないというべきである。」 大雑把にいうと、 「外観、観念,称呼のどれかが類似していても、実際に誤認混同しないことが明らかであれば類似しない」 という考え方です。 でも特許庁の審査においては実際の取引実情などを判断するのは難しいので、「称呼」,「外観」,「観念」のいずれか一つでも類似すれば誤認混同する、つまり類似すると考えて判断しています。 (3) 登録や権利行使にあたって「類似」の判断をする際には、商標の類似の他に「商品又は役務(サービス)」の類似も判断する必要があります。 そのため、商標が類似していても商標を使用している商品やサービスが異なれば、全体として類似しないという判断がされることがあります。 (4) 「類似」の正確な判断は難しいです。類似するかしないか微妙な場合も 多いからです。 ですから、専門家である弁理士でも類似するかどうかについて100%確実な判断をすることができません。 特許庁でも審査官は審査基準に従って判断していますが、人間の判断することなので、微妙な場合は担当する審査官により判断が異なることは有ると思います。 (5) 商標の出願前には類似する商標が既に登録や出願されていないか調査するのですが、観念類似については調査が難しいです。 一応、代表的な「訳」,「意味」を考えて調査しますが、言葉にはいろいろな意味がありますし、その言葉の普及度なども考えなくてはいけないので本当に難しいです。 |
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