「わかっちゃう! 知的財産用語 (特許,商標などの用語解説)」

さかな  わかっちゃう  知的財産用語
特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 
さかな


守秘義務(しゅひぎむ)



 [ 守秘義務(しゅひぎむ)]



 業務上 知ることのできた情報を他に漏らさないことを守る義務のことです。

 もっと簡単に言うと、「秘密を守る義務」です。



(1) 「守秘義務」は別に知的財産に限ったことでありません。

 何らかの理由で秘密を守る必要がある情報については 守秘義務があることが多いです。

 例えば、医師,弁護士,公務員などには法律上又は倫理上、守秘義務が有ります。


 会社の従業員も「就業規則」などによって会社の秘密を漏らさないように義務付けられている場合がほとんどだと思います。



(2) それでは、知的財産と守秘義務の関係について簡単に説明します。

 なぜ発明や意匠などの知的財産に関して守秘義務が求められるかというと、一番大きな理由は「新規性」の問題です。

 発明,意匠などは特許,登録されるために「新規性」(知られていないこと)が求められます。


 そのため、出願前に誰かに知られて「公知(公に知られた状態)」に成ると新規性が失われ、原則として特許や登録を受けることができなくなります。


 守秘義務の無い人に内容を知られた時点で「公知」と成りますが、この場合、知られる人数は問いませんので、たった1人に知られても「公知」に成ります。


 一方、知られた相手に守秘義務が有るのなら、たとえ100人に知られても、(「公」ではないので)公知にはならず、新規性は失いません。



(3) 「先願主義」との関係もあります。
 
 特許制度や意匠制度は「先願主義」を採用しているために、最初に特許庁に出願した者に権利を与えます。ですから、もし秘密がライバル会社に漏れて、先に出願されてしまうようなことになれば大変です。

 (参照:「冒認出願」)




(4) 知的財産に限りませんが、営業秘密の開示などについては不正競争防止法にも規定があります。

 ここでいう「営業秘密」には、「研究開発資料」,「顧客名簿」,「帳簿」なども含まれます。



(5) 私のような「弁理士」には守秘義務があり、そのことは法律で定められています。

 弁理士法には

「弁理士又は弁理士であった者は、正当な理由がなく、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。」

 と規定されています。

 「弁理士であった者」も含まれるので、廃業した元弁理士にも守秘義務があります。

 「正当な理由」とは本人の承諾などが考えられます。



               ☆                   ☆   


[関連事項と経験談]


(1) 他の企業と業務提携,共同開発などを行う場合や、試作品の制作を他社に依頼するような場合には、提携の契約書に「秘密保持」についての条項を設けるか、別途「秘密保持契約書」を作って守秘義務を明確にしておくと良いです。


(2) 創業される方や、新たな事業展開をされる方が「ビジネス企画コンテスト」などでアイデアを発表してアピールされることがあります。


 その場合、主催者側に守秘義務が有るのかどうか事前に確認されるとよいと思います。


 主催者に守秘義務がない場合や、一般に公開されるコンテストであるような場合には、発表内容によっては出願前の発明や意匠が新規性を失うことおそれがありますので注意してください。


 同様に「経営コンサルタント」等と相談される場合も、事前に守秘義務の有無を確認する習慣を付けるとよいと思います。




(3) ホームページ作成を依頼するような場合でも、守秘義務が問題となることがあります。


 例えば新しいビジネスモデルや新製品について、特許や意匠の出願前の段階でホームページ作成を依頼するような場合です。

 ホームページを制作してもらうためには、その新製品やビシネスモデルなどについてホームページ制作者に内容を知ってもらう必要があるからです。


 そこで依頼する際には、必要により「秘密保持契約書」などにより守秘義務を明確にしておくと良いです。


 只、ホームページ制作者にしてみれば、(それ以前に信頼関係ができている場合は別ですが)いきなり「秘密保持契約書に捺印しろ」と言われても戸惑うと思います。

 このような場合は、先に秘密に触れない範囲で「大まかな内容(例えば分野や用途)」,「希望ページ数」,「希望料金」,「納期」などを示して、「作成依頼を受けるか否か」の判断材料を示してあげると良と思います。



(4) 上記のように弁理士には守秘義務があります。もちろん出願などのご依頼を受けた場合だけでなく、有料か無料かを問わず「特許相談」等にも適用されます。


 それでも相談会などに行くと、相談者の方が「相談を通して秘密が漏れるのではないか」と必要以上に警戒して相談内容を具体的にお話しされないことも「たまに」あります。


 そのような場合、ストレートなご質問ではないので相談時間が倍以上かかることもありますし、はたしてこちらの回答が相談者の方の求められている事例に適応しているのかどうか不安になります。


(5) こうしてメルマガを書いていて、「具体的な実例を挙げればもっと理解してもらいやすいだろうな」と思うこともありますが、守秘義務のために書くことができないことも多く、もどかしく思えることがあります。


(6) 発明の相談などをしておりますと
「思わず笑ってしまうおもしろいアイデア」や
「どう考えても特許が取れそうにないユニークなアイデア」
なども有りますが、守秘義務があるので 相談を受けた内容を他人に お話しすることができません。


 交流会などで私が弁理士だとわかると

「いろいろおもしろい発明とかも持ち込まれるんでしょ。何か変わった発明の話しを聞かせてくださいよ。」

と気軽に言われることがあるのですが、「ごめんなさい守秘義務が有るので話せません」とお断りしています。

 笑えるような発明について興味の有る方は、公開されている「おもしろ発明」ばかりを集めたホームページが有ったと思いますので、そういうのを見つけて読まれると楽しいかと思います。



(7) 私のお客様にはオンラインシッョプ(インターネット通販業)をされておられる方が多く、事務所をご利用いただいた「お礼」として、少しでもお客様のホームページへのアクセスが増えるように事務所のホームページに「お客様リンクコーナー」を設けています。


 この場合でも、無断でリンクを設定するのではなく、各ショップさんに問い合わせてリンクを希望される方のみリンクさせていただいております。

 「特許事務所に依頼や相談をされた」という事実も1つの情報であり、守秘義務があると思っているからです。


 尚、オンラインショップさん以外のお客様については、こちらからリンクしてもお客様にあまりメリットがないのでリンクは作っていません。
(中には、皆さんが名前を聞かれたら「エッ、あの人を知っているんですか!」と驚かれるような有名人も何人かおられたりするのですが・・・・。)



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