わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
フリーライド(Free ride) |
[フリーライド(Free ride)] 他人が資金や労力などをかけて得た信用や名声に無断で便乗する、いわゆる「ただ乗り」行為のことです。 (1) 例えば、有名な会社名,マーク,商品名,営業表示などを真似した名前やマークを自分の商品などに無断で使うことによって利益を得るような行為がこれに該当します。 そういえば最近でも「有名な鉄道会社の関連会社と紛らわしい名前の消費者金融会社」が話題になっていました。 (2) 企業は、企業活動を通して、お客さんからの信用を築いていきます。 信用を得るためには優れた商品やサービスを提供することはもちろんですが、その他にもアフターサービスや宣伝広告など多大な費用や労力、更には時間がかけられています。 (3) 「フリーライド」があると どのようなことになるでしょうか? たとえば、Aさんの「全国的にたいへん有名な商品名」を、Bさんが無断で自分の商品に使ったとしましょう。 お客さんは その表示を信用して(信用や名声のあるAさんの商品、又はAさんに関係のある商品であると勘違いして)買いますね。 すると「フリーライド」したBさんは 楽に儲かります。 信用や名声を得るための費用も労力もかけずに 他人(Aさん)の信用で自分の商品が売れるからです。 でも、「フリーライド」されたAさん は たまったものではありません。 それまで努力して信用や名声を築きあげてきたのは、自分の商売のためです。 他人であるBさんに「おいしいところ」を持って行かれたのでは、本来 得られるはずであった利益を損うことになりかねません。 しかも「フリーライド」によって 今まで築いた信用や名声自体を損なうことも有ります。 例えば、「Bさん」の商品の品質が悪く、それを購入したお客さんが「Aさん」や「Aさんの商品」に失望や反感を抱くようなことも起こりえます。 又、本来Aさんが育てていきたかったブランドイメージと かけ離れた種類の商品に使われたりすると、結果としてブランドの価値も下がってしまいます。 (3) そのような「フリーライド」が自由に行われるのであれば、「努力するだけ損」ということになり、企業も信用を築いていくための努力をしなくなってしまいます。 そうなれば、産業全体にも悪影響があります。 そこで、フリーライドを防止する必要が出てきます。 (4) フリーライドを防止する手段としてまず思い浮かぶのが「商標登録」です。 商標法では登録によって商品名や会社名,マークなどを商標として独占使用することを認めます。 これにより、他人は登録された商標を自分の商標として使用することができなくなります。 しかしながら、原則として「登録」が保護の前提となりますので、登録を受けていない商品名,マークなどは保護できません。 又、商標権は「同一又は類似」の商品又はサービスにまで権利が及びますが、類似しない商品やサービスにまでは及びません。 つまり商標法だけではフリーライドを十分に防止することができません。 (5) 不正競争防止法は、商標法では十分でない部分をカバーしています。 不正競争防止法では著名(とても有名)な商品等表示(商品又は営業の表示)について、他人が自分の商品等表示として使うことを「不正競争」として禁止しています。 この場合、商標登録のような登録は必要有りませんし、商品やサービスの種類を問わずに保護されます。 又、「著名」とまで行かなくても有名(周知)な商品等表示については、他人が業務混同を生じさせるような使用をすることを「不正競争」として禁止しています。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 有名になって業務上の信用,ブランド価値が高くなるほど、フリーライドされやすくなります。 有名になったとたん、偽物や盗用が出てくるというのは昔から良くある話しです。 フリーライドされないように、大切な会社名,商品名などは 商標登録により積極的に保護しておくことが望ましいです。 又、他人にフリーライドされて困っている場合は、見過ごさないで 弁理士、又は知的財産関係の仕事をされている弁護士に相談されることをお勧めします。 (2) 商標法では国内又は外国で著名な商標や、それに類似する商標については、他人が不正の目的(例えばフリーライドの目的)を持って登録を受けることを禁止してしています。 そのため、外国では著名だけれども日本では未だ登録されていない商標について、他人がフリーライド目的で商標登録を受けることはできません。 (3) 今回は「他人の信用への ただ乗り」という狭い意味での「フリーライド」について説明しました。 広い意味では「他人の考えたことを模倣する」ことを「フリーライド」と言う場合もあります。 |
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