わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
情報提供(じょうほうていきょう) (商標) |
[情報提供(じょうほうていきょう)] (商標編) 商標登録出願された(他人の)商標が登録になるのを阻止するために、情報を特許庁に提供することです。 (1) 情報提供は「刊行物等提出書」という書類を特許庁に提出することにより行います。 これは名前の通り「刊行物など」を情報として提出する書類です。 (2) 情報提供は、「特許庁に係属している商標登録出願」についてのみ対象とすることができます。 つまり、既に登録になった出願、拒絶査定が確定した出願、取り下げられた出願などに対しては行うことができません。 (3) 提出できるのは書類だけです。書類に該当しないもの、例えば、ビデオテープやCD−ROMなどの提出は認められていません。 「書類」としては、例えば雑誌,新聞などの刊行物(もしくはその写し)や、商標登録出願の願書の写し、カタログ,パンフレット,チラシ,取引書類の写しなどが考えられます。 登録を阻止するための情報ですから、提出する書類には「出願された商標が登録できないものである」こと、つまり所定の登録要件を満たさないことを示す書類を提出することになります。 (4) 情報提供は誰でも行うことができます。 「刊行物等提出書」には「提出者」を記載する欄があるのですが、住所や氏名を省略して提出することもできます。 つまり提出者が誰であるかを 知られることなく提出することができるのです。 提出者として名前を出すことにより、商標登録出願人との関係悪化が気になるような場合は、匿名で提出されればよいです。 (5) 「刊行物等提出書」には 提出する書類のリストと共に、「提出の理由」を書きます。 ここには提出した「刊行物等」と関連づけて、この商標が登録できないと考える理由などを書きます。 (6) 審査官は、その出願を審査する際に提出された刊行物を参考にできます。 但し、提出された資料を参考にするかどうかは審査官の裁量ですので、提出した刊行物が採用されなくても、そのことについては文句は言えません。 (とは言っても審査に間に合えば、見てもらえると思います。) 審査官は、提出された書類を検討した結果、その商標登録出願について拒絶の理由があると判断すれば商標登録出願人に対して拒絶の理由を通知します。 (7) 提供された情報は閲覧できるようになっていますので、商標登録出願人も、第三者も その内容を閲覧することができます。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 平成9年施行の商標法改正前は、商標権が付与される前の段階で、登録を阻止するための(付与前)登録異議申立制度がありました。 この権利付与前の登録異議申立は、商標権が発生する前の段階で審査官に対して公衆が意見を述べることが可能な貴重な機会でした。 しかしながら出願から権利化までの期間を短縮するなどの理由で、権利付与前の登録異議申立制度は廃止されてしまいました。 (その代わりに権利付与後の登録異議申立制度ができました。) 付与前登録異議申立制度が無くなった今では、権利付与の前に、公衆が関与できる制度として情報提供制度の重要性が増えました。 (2) 情報提供をしても審査の当事者ではなく、単に情報提供者に過ぎませんので、審査官に面談を求めて釈明したりすることはできません。 情報提供しても商標登録されてしまうことはあります。 その場合でも、登録後に登録異議申立をすることができます。 (3) 特許や実用新案についても情報提供制度があります。 (一緒に説明すると ややこしくなるので 別に説明します。) |
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