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[ 組物 (くみもの) ] (意匠関係) |
[ 組物 (くみもの)] (意匠関係) 同時に使用される二以上の物品、つまりセットであって、経済産業省令(意匠法施行規則)で定められているもののことです。 (1) 意匠登録出願は 原則として物品ごとにしなければなりません。 しかしながら、全体としてデザインに統一感があり、使うときも同時に使われるようなセット物は単品ではなく一組として取引されることが多いです。 そこで、便宜を図るために例外的に「組物」については一つの意匠として出願をして、意匠登録を受けることができる手段が用意されています。 (2) 只、単純に「セット=組物」というわけではなく、組物として認められるセットは経済産業省令で定められています。 ちなみに、定められている組物は、意匠法施行規則の「別表第二」という表に示されており現在は「56種類」あります。 例えば、 「一組のコーヒーセット」 「一組の薬味入れセット」 「一組のディナーセット」 「一組の電気歯ブラシセット」 「一組の応接家具セット」 「一組のゴルフクラブセット」 「一組の下着セット」 「一組の ひなセット」 「一組のキャンプ用鍋セット」 「一組の電子計算機セット」 「一組の台所セット」 「一組のオーディオ機器セット」 「一組の筆記具セット」 「一組のドラムセット」 「一組の自動車用エアスポイラーセット」 「一組の門柱、門扉及びフェンスセット」 などが有ります。 定められた組物以外のセットについては、勝手にセットとして出願することはできません。 (その場合は、セットではなく原則通り個々の物品毎に出願することになります。) (3) 登録を受けるためには、「組物全体として統一がある」必要があります。 ここで「統一」というのは、「デザイン的なまとまり感」ようなものですが、「統一」があると認められるのは下記のような場合です。 (A)組物を構成する物品の形状や模様などが、同じようなデザインとなって いるような場合。 例えば「薬味入れセット」を構成する個々の「薬味入れ」に全て同じ絵柄が描かれている場合などが考えられます。 (B)構成物品が全体として一つのまとまった形や模様を表すような場合。 例えば、アンプやスピーカーなどを組み合わせて全体として一つの「ピラミッドの形」になる「オーディオ機器セット」などが考えられます。 (C) 組物を構成する物品の形状や模様などが、物語性など観念的に関連が ある印象を与えるような場合。 例えば、個々の「薬味入れ」にそれぞれ「犬」,「猿」,「キジ」,「桃太郎」の絵が描かれた「薬味入れセット」等が考えられます。 (4) 組物の意匠も、出願すれば審査されます。 審査では、組物の意匠全体としての新規性,作性などの登録要件を満たしているか否かを審理されます。 組物を構成する個々の物品には新規性や創作性は求められません。 (5) 組物の意匠は全体として一つの意匠となります。 そのため意匠登録されても組物全体として一つの意匠登録がされたことになり、組物を構成する個々の物品が別々に意匠登録されているわけではありません。 ですから権利範囲も組物全体として判断されます。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 昔は組物として認められるセットが13種類しかなく、あまり「組物の意匠」というのは出願されていませんでした。 今では改正されて組物と認められる物の種類が増えたので、以前に比べれば出願も増えたのではないかと思います。 (2) 出願後に 組物の意匠についての出願を分割して、組物を構成する個々の物品の出願にすることはできません。 組物全体として一つの意匠だからです。 |
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