わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
[付記弁理士(ふき べんりし)] |
[付記弁理士(ふき べんりし)] 特許権や商標権などの侵害訴訟などにおいて、一定範囲で訴訟の代理業務を行うことのできる弁理士のことです。 (1) 裁判で当事者からの依頼を受けて訴訟の「代理人」となることができるのは「弁護士」です。 特許や商標などの知的財産権関係の侵害訴訟も弁護士が訴訟の代理人となります。 只、知的財産権関係の法律というのは専門性が高く、特に特許の場合は技術の解釈なども必要となります。 そのため、特許権や商標権などの侵害訴訟においては知的財産権の専門家である弁理士の協力が求められることがあります。 このような場合、弁理士は代理人ではなく「補佐人」という立場で弁護士を補佐していました。 (2) もちろん 今でも「補佐人」として訴訟で補佐することはできるのですが、数年前から法律が変わって、弁理士も 「特定侵害訴訟」 と呼ばれる訴訟においては、所定の条件下で訴訟の「代理人」となることが認められるようになりました。 この「特定侵害訴訟」というのは、特許,実用新案,意匠,商標,回路配置に関する権利の侵害についての訴訟や、所定の「不正競争による営業上の利益の侵害」についての訴訟のことです。 (3) 只、弁理士は弁護士ではないので訴訟についての知識などが必ずしも十分とは言えず、そのまま訴訟の代理人として認めることは好ましくありません。 そこで、訴訟に関する知識や技能を学ぶための研修や、能力を確認する試験などを経て、「特定侵害訴訟代理業務の付記」を受けた弁理士、すなわち「付記弁理士」にだけ、そのような訴訟代理人となることを認めています。 (4) 尚、たとえ「付記」を受けていても弁護士とは異なり、弁理士だけで訴訟の代理をすることはできません。 弁護士が同一の依頼者から受任している場合、つまり弁護士と共同で代理する場合に限って訴訟代理人となることができます。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 私も特定侵害訴訟代理業務の付記を受けています。 研修は受講料が かなり高く、当時は 金銭的にかなり負担でした。 又、受講時間,受講期間も長く、提出課題の作成なども時間がかかるので 結構 つらかったですね。 (2) 参考までに「付記」を受ける迄の流れを簡単に紹介します。 (A) まず訴訟に関する所定の研修を受講します。 当然ですが受講するには「弁理士」であることが前提となります。 研修では、主に知的財産関係の訴訟に詳しい弁護士の先生から、民事訴訟法,訴訟の考え方、訴状の書き方などを指導していただきます。 研修を全部きちんと受講して、課題提出などもしなければ、研修を終了したと認めてもらえません。 研修を無事終了すると、年1回の「特定侵害訴訟代理業務試験」を受験することが許されます。 (B) 「特定侵害訴訟代理業務試験」に合格すれば、その後に日本弁理士会 に申請して付記を受けることができます。 (3) あくまでも特許侵害訴訟などの「特定侵害訴訟」の代理人になることができるというだけですから、それ以外の訴訟については代理業務を行うことはできません。 ですから私に「離婚の訴訟」とか「土地の境界線をめぐる訴訟」などの相談は しないでくださいね。 (4) ちなみに米国では日本でいう「弁理士」に相当する資格が2種類有ります。 一つは「パテントアトーニー」で、もう一つは「パテントエージェント」です。 「パテントアトーニー」は、単なる特許庁への代理手続だけではなくて弁護士として訴訟の代理を行うことができます。 一方「パテントエージェント」は、特許庁への代理手続のみ行え、訴訟の代理はできません。 |
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