わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
審査請求 (しんさせいきゅう) |
審査請求とは、 特許出願についての「出願審査の請求」の略です。長いので特許関係者の間では単に「審査請求」と呼ばれることが多いです。 特許出願をしただけで特許権を取得したように勘違いされている方も多いのですが、出願をしただけでは特許権がもらえるわけではありません。 特許庁で出願の内容を審査してもらって、所定の特許要件(登録するための条件)をクリアした出願だけに特許が付与されます。 そして、出願内容を審査してもらうためには出願とは別に、特許庁に「出願審査の請求」の手続きをしなくてはなりません。 「出願審査の請求」をする場合は、「出願審査請求書」を提出し、所定額を納付します。額は出願に記載されている請求項の数によって異なります。 「出願審査の請求」の手続きをせずに放置しておくと、所定期間(現行法では出願から3年)経過後に出願は「取り下げ」扱いになってしまい、特許権を取得できなくなってしまいます。 尚、出願と同時に出願審査の請求をすることもできますが、とりあえず発明が完成した時点で特許出願だけしておき、必要に応じて所定期間内に出願審査の請求をするパターンが多いです。 * * [なぜ 出願を全部審査しないのか] 「いちいち審査請求みたいな別の手続きをしなくても、全部の出願を審査すれば良いじゃないか」と思われる方も多いと思います。 「もっとも」なご意見です。 このような制度になったのには以下のような理由があります。 昔(25年くらい前)は出願された発明は 全て審査されていました。 しかしながら日本は特許の出願件数が世界一の国であり、特許庁も その全てを審査することが困難になりました。特許庁の審査官は公務員ですので、審査官の人数を増して対応することにも限界が有ります。 また 出願の中には 実際に権利化を希望せず、防衛的に(他社の特許取得防止等のために)出願されているものも多いという事実がありました。 出願後に 実施する予定が無くなって権利化する必要が無くなる出願も有ります。 更に、出願公開制度により 出願後1年半は公開されないので、ひょっとすると自分より少し前に他人が同じ発明について出願をしていることもあります。特許は先願主義ですから後から出した発明は特許されません。したがって自分より先の出願があることがわかれば審査してもらう必要がありません。 このように全ての出願を審査していたのでは無駄が多く、特許されるまでの期間がとても長くなってしまいます。 そこで、本当に権利化したいと希望する出願のみ、出願後の所定期間内に出願審査の請求をして審査してもらうようになりました。(この審査で特許査定されれば、登録料の納付を条件として特許されます。) 審査請求しない出願は前述したように「取り下げ」となりますが、出願人も審査してもらうための費用を払う必要がないですし、特許庁も審査する件数が減って助かります。 * * [関連事項と経験談] (1) 数年前に「出願審査の請求」ができる期間が、「出願日から7年」から「出願日から3年」に短縮する法改正がありました。「7年は長すぎる」という意見が有ったからです。でも法改正前に出願したものについては改正後でも従来通り「7年」の期間が認められます。 (2) 出願審査請求の料金の値上げが検討されています。噂によると「2倍」くらいの値段になるらしいです。今でも高額なので値上げはツライですね。 (3) 弁理士試験の答案では「出願審査の請求」のことを単に「審査請求」と書くと減点の対象となるらしいので、きちんと「出願審査の請求」又は「出願審査請求」と書くように注意していました。 何故かというと、正確でないだけでなく、行政不服審査法(だったと思う)に「審査請求」という全然別の手続きが有って、それとの関係でまぎらわしいからだそうです。 (4) 「出願審査の請求」のことを すごく略して「出審(しゅっしん)」と呼ぶ方もおられますが、なぜか私にこの略称は生理的にすごく気持ち悪く感じるので、聞く度に寒気がします。(どうでも良いことですが・・・) |
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