わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
出願公開(しゅつがんこうかい) |
出願公開とは、 特許出願の内容が、原則として出願から1年6月経過した時点で世間に公開されることです。 出願公開は「出願公開公報」(単に「公開公報」と呼ばれることが多いです。)という公報に掲載することにより行われます。 公開公報には、出願書類に書かれた内容が記載されるので、どのような発明について誰が特許出願したのかがわかります。 ですから、企業の知的財産部は関連する分野の公開公報を常にチェックして、新技術の傾向やライバル会社の開発動向等をチェックしています。 公開公報に掲載された特許出願の多くは未だ審査が済んでおらず、この段階では将来的に特許されるかどうかはわかりません。つまり、どう考えても特許になりそうにない発明についての出願も公開されます。 出願公開の際には出願公開番号(公開番号)が付与され、公開公報に記載されます。 公開番号は、「公開された年」、「出願の種類」、「その年における通し番号」から成ります。 例えば、「2002年特許出願公開12345」のような番号です。「特開2002−12345」のように表記されることも多いです。 昔は「年」に元号使用しており、昭和に公開された場合は「特開昭60−12345」、平成に公開された場合は、「特開平4−12345」のような番号でしたが、元号は外国の方にわかりにくいので西暦が使用されることになりました。 出願公開されている発明を実施(製造,販売等)しても、それだけでは特許権の侵害には成りません。まだ、特許権が発生していないからです。 只、出願公開後に出願人から直接警告があった場合には、その出願が後に特許に成れば警告後の実施について実施料相当額を請求されることがあります。これを「補償金請求権」と言います。詳しくはまた別の機会に説明します。 特許相談をたくさん受けていると、「出願公開」について誤解されている方が多いことに気がつきます。つまり、「特許権が発生している」のだと思いこんでおられる方がおられます。 もし気になる特許公開公報が見つかれば、特許庁ホームページの特許電子図書館(IPDL)を使って、その出願が現在どのような状況であるのか(つまり審査経過)を確認してみましょう。 * * [関連事項と経験談] (1) 出願人が「出願公開の請求」を行えば、出願から1年6月経過する以前に出願公開させることができます。(「出願公開の請求」による出願公開は「早期公開」と呼ばれることがあります。) (2) 出願から1年6月公開されないということは、競合する会社にとっては脅威です。 例えばライバル社のパンフレットやホームページに「特許出願中」と書かれていても、いつ頃どのような内容で出願されているかわからず不安になります。 このことを利用して、権利化が困難と思われる発明でも「ライバルを牽制する」ためにあえて出願して「特許出願中」と宣伝することもあります。 (3) 改正前の実用新案出願は特許出願の場合と同様に出願から1年6月経過後に出願公開され、「実用新案公開公報」が発行されていました。でも現在は(出願後、短期間で登録され登録公報が発行されるので)実用新案公開公報は発行されません。 ちなみに、実用新案公開番号は「実開昭55年−12345」のように表記されていました。 (4) 出願公開された発明の特許成立を阻止したいときは、特許庁に情報提供を行うことができます。つまり、その出願が特許されるべきでないことを示す証拠を提出して、審査でその出願を拒絶に導くこともできます。但し、情報提供はあくまで「参考資料の提供」に過ぎず、その証拠を採用するかどうかは特許庁の判断次第です。 (5) 10年ほど前に放送していたTVドラマで、新製品の「鯖カレー」をめぐって開発をした田舎の会社と都会の大企業とが争うという話しが有りました。 悪役の大企業秘書が主人公に対して「鯖カレーは当社が特許出願し、既に公開されています。」と勝ち誇ったように言うシーンが有りました。 私はそれを見て、 「出願からまだ数ヶ月なのに出願公開されるはずないやんか(当時は早期公開制度は有りませんでした。)」とか 「出願公開されただけで大きな態度とっちゃダメ」 とか 1人で突っ込みを入れていました。 まあ、ドラマはおもしろかったですが・・・。 |
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