わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
共同出願 (きょうどうしゅつがん) |
共同出願とは、 2人以上の者が出願人となっている出願のことです。 特許や商標などを出願する際には、願書で出願人を特定します。この出願人は後に特許権者や商標権者等になる人ですので、誰を出願人にするかは重要です。 出願人は自然人(普通の人)でも法人(会社等)でも良いのですが、通常は1人であることが多いです。でも、2人以上の人が出願人となって出願することもあります。 理論的には出願人は何人でもかまいません。1人でもよいし、2人でも100人でもよいです。100人なら100人の共同出願となります。 共同出願になるケースですが、例えば共同開発をした場合や、出資者と開発者がいる場合などが多いです。2名以上の共同経営者が会社名ではなく個人名で出願する場合もあります(社長と副社長の共同出願など)。 最初は出願人が1人でも、途中から新たな方を出願人に加えて共同出願になることもあります。 例えば「Aさん」が単独で出願し、出願後にAさんが「特許を受ける権利」の「一部」を「Bさん」に譲渡し、出願人にBさんを加えるような「出願人名義変更」の手続きをすれば、出願はAさんとBさんの共同出願となります。 以前に同日出願(同じ日に同じ内容の出願が有ること)の場合の措置として、「一方の出願を取り下げて、他方の出願を共同出願にする」ことが多いと説明しましたが、これも出願後に共同出願になる場合の一例ですね。 共同出願が権利化されると、その権利は出願人全員の「共有」となります。つまり、出願人全員が特許権者,商標権者等となります。 権利は共有する者全員のものですので、一部の共有者が他の共有者に無断で行えない行為も有ります。 詳しくは別の機会に説明しますが、例えば、実施権の設定や権利の(自分の持分の)譲渡を行おうとする際には、他の共有者の同意が必要となります。 * * [関連事項と経験談] (1) 最初は仲良く共同で事業を始めても、事業の方針の相違等で分裂することがよくあります。 特許相談(面談)に「共有の特許権について自分の持分を他社に譲渡したい」という相談者の方が来られたことがありました。 そこで、権利譲渡の手続きについて説明すると共に「今回の場合、特許権が共有ですので他の共有者の同意が必要です。共有者に同意書を書いてもらってください。」と説明したのですが、どうやらその方は共有者とケンカ別れされていたようで、 「あんな奴には死んでも頭は下げない!顔も見たくないし、話しもしたくない!」と怒り出されてビックリしたことがあります。 その後、その共有者の悪口をさんざん聞かされたあげく、「そこをなんとかして欲しい(相手の同意無しで譲渡できるようにして欲しい)」と頼まれましたが、特許法で決められていることなのでどうしようがありませんでした。 このようなこともありますので将来のことを考えれば、できるだけ共同出願としない方が好ましいように思います。 (2) 小さな企業さんから「社長(旦那さん)と常務(奥様)の共同出願をしたいが、メリットとデメリットを教えて欲しい」という相談を受けたこともありました。 その時は権利が共有の場合の制限について説明し、「変な話しで恐縮ですが、万一将来お二人の仲が悪くなった場合に困られることがあります。」とお話ししました。 社長は「ご心配なく。私たちは仲が良いですから」といって笑っておられました。でも1年半後、その社長と常務が離婚されたとの話しを聞き、「世の中わからんものだなー」と思ったことがあります。 (3) 最近聞いた話ですが、ビジネスモデルについて相談を受けるコンサルタントの中には、自分(コンサルタント個人又はコンサルタント会社)も特許出願の出願人に加えるよう求める人もいるそうです。 この場合、上記したように権利化されれば権利は共有となってしまい自分の権利であっても、権利の取扱について相手(つまりコンサルタント)に制限を受けることがあります。 もしも共有を求められた場合には、そこまでしなくてはならない「理由」を明確に説明してもらいましょう。 例えば、そのコンサルタントがビジネスアイデアに賛同して多額の出資してくれる等の理由が有り、それについて自分が「納得」できるのなら共同出願とされても良いかとは思います。 いずれにせよ、もし共同出願とされるなら別途「契約書」を作って、できるだけ相手の力を制限し、自分は相手からできるだけ制約を受けないようにしておくと良いでしょう。 |
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