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特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 
さかな


ゾロ薬 (ぞろやく)


ゾロ薬とは、

 新薬の特許権が切れた後に、他の製薬会社から販売される後発の医薬品のことです。


 この「ゾロ薬」という名前は俗称で、製薬会社は「ジェネリック医薬品」と称しています。


 なぜ「ゾロ薬」と呼ばれるかというと、特許権が切れた(特許権の存続期間が満了した)後に「ぞろぞろ」と各社から出てくる(販売開始される)からだそうです。


 同じ物でも「ゾロ薬」というと胡散臭そうですが、「ジェネリック医薬品」というと何となくアカデミックな雰囲気がしてカッコイイですね(^_^;)。


 特許権が存在していると、その医薬品を特許権者以外が製造・販売すると特許権侵害となってしまいます。又、特許権者に実施許諾してもらおうとすると莫大な実施料を請求され、利益をあげることが難しくなります。


 そのため、特許権者以外は特許されているのと同じ成分の医薬品を製造・販売することが困難になります。


 でも特許権が切れれば、当然ながらその医薬品を製造・販売しても特許権侵害にはなりませんし、実施料も支払う必要はありません。


 ですから、評判のよい医薬品については特許が切れた後に他の製薬会社から同じ成分の医薬品(つまりゾロ薬)が次々と販売されることになります。


            *                      *


[関連事項と経験談]
 
(1) 「薬九十倍(くすり くそうばい)」というたとえを聞いたことがありますか?
 これは「薬の販売価格は原価の90倍くらいである」、つまり「薬は ぼろ儲け」というたとえなのですが、実際に薬ってビックリするほど高いですね。


 実際に「90倍」かどうかは知りませんが、薬によってはもっと低い場合もあるでしょうし、軽く100倍以上の場合もあるのだと思います。


 なぜ薬がこんなに高いかというと、開発に膨大な費用(製薬会社に勤める知人から100億円以上と聞いたことがあります)や時間がかかり、しかも人命にかかわることですので承認を得るために大変な労力(試験や資料提出など)が必要となるからです。


 しかも開発した新薬が全て販売できるわけではなく、試験をして「効果がない」,「危険性がある」ということになれば販売できません。販売して利益を得られなければ開発費の分だけ赤字となります。失敗のことも考えると成功した新薬については価格をかなり高く設定しないと割が合いません。


 製薬会社は苦労して開発した新薬を独占するために世界中に特許を申請しますが、そのための費用もかなりのものです。

 そのような事情があって、医薬品は高価となっています。


 ゾロ薬の場合、新薬開発に比べれば開発費用がかからず、認可なども楽なので、販売価格を安くすることができます。


 開発した製薬会社もゾロ薬に対抗して販売価格を下げざるを得ないので、一般に特許権が切れた後は、その医薬品については安くなる傾向があります。



(2) リスクのある新薬の開発をせずに、ゾロ薬だけを作っている製薬会社もあるそうです。


 先日、TVを見ていると「ジェネリック医薬品」のCMをやっていました。記憶していないのですが、ゾロ薬メーカーのCMだったような気がします。

 でも「ジェネリック医薬品」とは何かという説明も無いイメージCMだったので、そのCMを見た人の殆どは意味不明だったと思います。


 私は「ジェネリック医薬品」が何かを知っていましたが、それでも 「だから何なの?」 と思いました。 誰が誰に対して何を伝えたいのか全然わからない不思議なCMでした。



(3) 「ゾロ薬」の意味としては他にもいくつかあるらしいです。薬剤師の知人によれば、全く同じではないけれど同系統の成分をつかって同じような効果が得られる類似の医薬品のことをゾロ薬と呼ぶこともあるそうです。



(4) 特許権の存続期間は原則として最長でも出願日から20年です。しかしながら医薬品については例外的に存続期間が5年まで延長されることがあります。


 医薬品の場合、特許権を持っていても認可を受けるまでの期間については販売できないので、実質的に特許権を有効利用できる期間が短くなってしまいます。そこで、その特許権を有効利用できなかった分について最高5年を限度として存続期間を延ばすことがあります。つまり、存続期間が最長で出願日から25年となります。


 只、医薬品に関する特許なら全て延長されるのではなく、存続期間延長登録という手続きをして審査で認められた特許権だけが対象となります。




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