わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
[ 知的創造サイクル (ちてきそうぞう さいくる)] |
[ 知的創造サイクル (ちてきそうぞう さいくる)] 「研究開発」−「知的財産権による保護」−「収益」−「研究開発」−・・という循環のことです。 (1) 単なる着想が、そのまま発明となることは殆どないと思います。 たいていの場合、着想を基にして研究,開発などを経て発明が完成します。そして、この研究,開発には費用がかかります。 又、発明は完成させただけでは保護されません。特許出願して特許権を得ることにより保護されます。 しかし、特許権を得ただけでは、収益を得ることはできません。特許権を活用することにより収益を得ることができます。 例えば、自分で特許発明を独占的に実施して収益をあげることもできますし、他人に実施権を許諾してライセンス料をもらうこともできます。 そのようにして得られた収益を、新たな研究,開発に使えば、新たな発明が生まれます。 つまり「研究・開発」−「発明」−「特許」−「収益」−「研究・開発」−「発明」−・・・・ というような循環となります。 もっとシンプルに表現すると、「創造」−「保護」−「活用」−「創造」・・というサイクルといえます。 このようなサイクルのことを「知的創造サイクル」と言います。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 「概念」としてはわかるのですが、実際には このような知的創造サイクルを うまく回すのは容易ではないと思います。 例えば、サイクルが1週回ってくるのに要する時間が長すぎて、収益をあげる前にダウンすることが考えられます。 また、特許権が うまく活用できずに収益があまり得られない場合もあると思います。例えば「休眠特許」は特許権が活用されていない顕著な例です。 知的創造サイクルがうまく回ることは「理想」ですが、実際には「理想」通りになるとは限らず、 「特許は負債になることもある」 ということも 意識しておくと良いと思います。 (参考「特許貧乏」) 現状では知的創造サイクルを回す上で、「特許権活用による収益」の部分がボトルネックになることが多いのではないかと思います。 (2) ちょっと話は ずれますが、特許相談を受けていると「発明の技術レベルの高さ」と「儲かる」こととを混同している方が多いです。 「凄い発明」でも儲からないことはありますし、特許にならないような技術レベルの低い商品でも大儲けになることもあります。 「収益」は、知的創造サイクルの重要なポイントですが、どの程度の収益を得ることができるのかを きちんと予想するのは難しいですね。 (3) 以前は大学の研究も論文,学会発表などの学術的な面が重視され、研究成果たる発明を収益に結びつけようとする考えは少なかったです。 「研究費は上(国とか学校とか)からもらえるもの」 「学術として研究すること尊いのであって、お金儲けなどは下品な話だ」 のように考えている学者先生が多かったように思います。 (あくまで 個人的な感想です。) でも、近年では大学も研究成果を収益に結びつけようという考えが広がり、研究成果である発明を企業に利用させて、その収益を研究費にあてることを意識するようになってきました。 また、大学の発明を企業に利用させやすくするTLO(大学の技術移転機関)により、少しずつ成果が出てきているらしいです。 (参考「TLO」 ) |
わかっちゃう! 知的財産用語のトップに戻る |
メルマガ(2誌) 好評発行中 |
「商標・サービスマーク」 ど〜んと来い! (マガジンID:0000117418)
メールマガジン登録
西川特許事務所のトップページに戻る |
西川特許事務所(オフィスニシカワ) 所長 弁理士 西川 幸慶 住所 兵庫県西宮市東山台3丁目9−17 電話 0797-61-1841 FAX 0797-61-1821 Eメール pat@jpat.net |