わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
[エコ・パテントコモンズ ( Eco-Patent Commons )] |
エコ・パテントコモンズ とは、 環境に貢献する技術の特許を無償で開放して相互利用を図る仕組みのことです。 (1) 近年、ますます環境問題が注目されています。 例えば、水や大気の汚染,エネルギー問題,ゴミ問題,地球温暖化など 環境に関する話題を目にしない日はありません。 環境問題の改善に役立つ技術や、環境保全のために使える技術も、たくさん特許になっています。 しかしながら、特許権は独占権であり、原則として特許権者以外は勝手に実施することができません。しかも、事業の都合などで、特許権者ですら実施していない発明もあります。 環境に貢献できる技術なのに、使わないのは勿体ないですね。 (2) そこで考えられたのが、エコ・パテントコモンズです。 環境改善,環境保全などの使える特許を無償で開放して、相互に使い合おうとする考え方です。 これにより、実用化されていなかった発明が有効に利用されることが期待されます。 民間では米国IBM、ノキア,ソニーなどの企業が中心となって、「エコ・パテントコモンズ」を試みています。 1つ以上の特許を開放すれば、企業でも個人でもエコ・パテントコモンズのメンバーになれます。 只、まだ 登録されている特許権の数はあまり多くないようです。 (3) 先日、経済産業省が「エコ・パテントコモンズ」を2009年4月に始める方針だというニュースが出ていました。 環境技術に関する国有の特許を登録する他、一般からも多数の登録を期待しているようです。 参加を促すために、開放した特許についての特許料減免などの特典も検討されているそうです。 まだ、具体的な内容は発表されていませんが、今後 注目していきたいと思います。 ☆ ☆ [関連事項と経験談] (1) 面白い試みですが、登録(開放)される特許の「質」と「量」がポイントとなるのでしょうね。 一口に「環境に貢献する技術」と言っても、その判別は難しいかもしれません。 (こじつければ 何でも「環境に貢献する技術」と言えてしまうような気もします。) 登録を認めるか否か、何か明確な基準を作るのかもしれません。 登録される数も かなりの件数が出そろわないと「実施したい技術が見あたらない」というようなことになるかもしれません。 「絵に描いた餅」ではなく、うまく活用できるようになれば良いですね。 (2) 余談ですが、「不公平感」のようなものを感じるメンバーも出てくるかもしれません。 例えば 「自分は開発費がたくさんかかった 凄い技術を何件も開放しているのに、実施したい他社の技術はない。A社は つまらない技術1件しか開放していないのに他社特許を使って大儲けしている。なんだか損したみたいだなー。」 のような不満が出てくるかもしれません。 (3) 「エコ・パテントコモンズ」のメンバーになって発明を実施したいのに、登録できる自社特許が無くて参加できない企業も 出てくるのでしょうね。 そのような企業に対しても格安でライセンスできるような仕組みができると良いかもしれません。 (4) 「メンバーで持ち寄って特許を使い合う」という点では、パテントプールと ちょっと似ていますね。 参考)「パテントプール」 |
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