「わかっちゃう! 知的財産用語 (特許,商標などの用語解説)」

さかな  わかっちゃう  知的財産用語
特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 
さかな


  [商標早期審査(しょうひょうそうきしんさ)]


 商標早期審査とは、

 自分の商標登録出願について、他の出願より優先して早く審査してもらうことができる制度です。


(1)
 商標の早期審査については 以前に説明をしました。
  http://www.jpat.net/Y123.htm

 2009年2月から運用が少し変わり、以前よりも早期審査の対象が拡大されましたので紹介します。


(2)
 従来は、以下の2つの要件を「両方」備えた商標登録出願だけが早期審査の対象となりました。


 (A) 出願人自身又は、出願人が使用を許諾した者(ライセンシー)
  が、出願した商標を指定商品若しくは指定役務に使用しているか、
  使用の準備を相当程度進めている出願であること。

 (B) 権利化について緊急性を要する出願であること。



(3)
 今回、上記に加えて

「出願人またはライセンシーが、出願商標をすでに使用している商品・役務又は使用の準備を相当程度進めている商品・役務のみを指定している出願」

 も対象に含まれることになりました。


 ここで大切なのは「のみ」の部分です。

 つまり指定した商品又は役務の全てについて、商標の使用又は相当の使用準備(以下「使用等」といいます)をしている必要があるということです。


 1つでも 商標を使用等していない商品・役務が指定中に含まれていると この要件を満たしません。

 例えば

 指定商品
  第3類「せっけん類,化粧品,歯磨き」

 としており、実際に使用等しているのは「せっけん類」と「歯磨き」だけで、「化粧品」には使用等していない場合は、早期審査を受けることができません。



(4)
 そのような場合は、早期審査の申出の前、又は申出と同時に、使用等していない商品・役務を削除する補正を行えば、早期審査の対称となり得ます。


 先の例で言うと、指定商品中から使用等していない「化粧品」の指定を削除して

  第3類「せっけん類,歯磨き」

と すればよいです。


(5)
 早期審査の申出をする際には、「早期審査に関する事情説明書」を提出します。


 「早期審査に関する事情説明書」では、商標の使用の事実を示す資料、又は商標を使用する準備を相当程度進めていることを具体的に説明できる資料を提出します。

 手続や取り扱いについては今までと変わりませんので、前回の説明 を参照してください。


(6)
 早期審査の対象拡大についての詳細は

 特許庁のホームページ  をご覧ください。



                ☆              ☆

[関連事項と経験談]
(1)
 出願が「審査」ではなく「審判」の段階にある場合には、同様に「早期審理」を申し出ることが可能です。

 その場合は、「早期審理に関する事情説明書」を提出します。


(2)
 今回の適用範囲の拡大で早期審査も更に利用しやすくなりますね。

 ちなみに、早期審査を申し出ない場合、出願してから審査結果が送られてくるまで だいたい半年程度(遅ければ1年程度)かかっています。


 私は、慣れてしまったので半年でも気になりません。でも、新規のお客様は審査期間を説明すると大抵「そんなに時間がかかるんですか・・」と驚かれます。


 これからは、急ぎのお客様には、積極的に早期審査の説明もしようと思います。

(本当は、時別な手続をしなくても はやく審査していただけるようになるとありがたいのですが・・・。)



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