わかっちゃう! 知的財産用語 特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 |
先願主義(せんがんしゅぎ) |
先願主義とは、 同じ発明について別個に出願があった場合、最初にされた出願に特許権を付えるという考え方(主義)のことです。 (1) 特許権は独占して発明を実施することのできる権利です。 もし同じ発明について2つの出願があった場合に、別々に特許権を与えるとどうなるでしょう。 双方が特許権者になってしまい、発明を独占できませんね。 (このような状態は「ダブルパテント」と呼ばれます。) そのため同じ発明について特許権を与える場合は、優劣をつけて権利を与える人を決めてやる必要があります。 そこで権利を与える人の決め方の一つとして、この「先願主義」という考えが出てきます。 読んで字の通り、 「先」に出「願」した人に権利を与える「主義」です。 つまり「早く出願した人の勝ち!」という考え方です。 日本をはじめ、多くの国ではこの先願主義が採用されています。 又、特許だけでなく商標権や意匠権についても同様に先願主義が採用されています。 (2) ちなみに この「先願主義」と異なる考え方として「先発明主義」が有ります。 「先発明主義」はどちらが先に出願したかではなく、先に発明した人に権利を与えるという考え方です。 つまり「最初考えた奴が偉いんじゃ!」という考え方です。 確かに一理ある考え方ですね。 先発明主義を採用している国としては米国がありますが、世界各国から「アメリカさんも みんなに合わせて先願主義にしてよ〜」と言われているようです。 (3) 出願主義の一番のメリットとしては「どっちが先か」ということが明確だということです。 出願日を見ればどちらが先か一目瞭然ですね。例えば、同じ年の3月4日にされた出願と3月5日にされた出願とでは、どちらの出願が先かは明白ですよね。 それに対し先発明主義の場合、「誰が最初に発明したか」ということはわかりにくいです。 発明した日を客観的に立証するのは難しいですし、発明によっては発明者自身もいつ発明が完成したか明確に把握していないことも有るかもしれません。 ひどい場合には発明者が発明した日について嘘をつくことだって考えられます。 その点、先願主義は楽ですね。でも先願主義では自分が最初に発明しても出願が遅れれば後から発明した人に負けることがあるので、少しでも早く出願しなくてはなりません。 * * [関連事項と経験談] (1) 先願主義は「先に出願した者の勝ち」ということですが、先か後かは出願した「日」を基準に決めます。 ですから「同じ日」に2つの出願があった場合、優劣をつけることができません。 例えば、同じ日の「午前10時」にされた出願と、「午後5時」にされた出願とでは優劣をつけることができません。 この場合「同日出願」という扱いになります。 「同日出願」については こちら を ご覧下さい。 (2) 郵便を使って出願した場合は、消印の日に出願したものとして扱われます。 近年ではオンライン出願が主流ですが、少し前までは郵送による出願が多かったです。 郵送する場合は消印を明瞭に押してもらう必要があり、消印が不明瞭だと特許庁に到着した日が出願日だとして扱われることがあります。 そうなると出願日が1日〜2日程度遅くなり、そのために1日違いで他社の出願に負けてしまう可能性も出てきます。 ですから、郵便局の方に「消印はハッキリ押して下さい」とお願いしたり、いくつも消印を押してもらうために少額の切手を少し位置を離してたくさん貼ったりしていました。 今となっては懐かしい思い出です。 |
わかっちゃう! 知的財産用語のトップに戻る |
メルマガ(2誌) 好評発行中 |
「商標・サービスマーク」 ど〜んと来い! (マガジンID:0000117418)
メールマガジン登録
西川特許事務所のトップページに戻る |
西川特許事務所(オフィスニシカワ) 所長 弁理士 西川 幸慶 住所 兵庫県西宮市東山台3丁目9−17 電話 0797-61-1841 FAX 0797-61-1821 Eメール pat@jpat.net |