「わかっちゃう! 知的財産用語 (特許,商標などの用語解説)」

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特許,商標,著作権 等に関する用語辞典 
さかな


断面図(だんめんず)

 
 断面図とは、物品を切断した状態を表す図面のことです。

(1)
 意匠登録出願をする際には、意匠を特定するために原則として図面を提出します。そして、図面としては原則として六面図を提出します。

 参照) 六面図

 しかしながら、六面図だけでは意匠が十分に表現できない場合があります。


 そのような場合、意匠をわかりやすくするために、斜視図,使用状態を説明する図,展開図,拡大図,断面図などの図面を提出することがあります。

参照)
 「斜視図」  「使用状態を説明する図


(2) 
 これらの図面の内、「断面図」は意匠に係る物品を切断した様子を示す図です。


 例えば、表面に凹凸が有るような場合、断面図を使うと形状がわかりやすくなります。


 断面図の切断面には平行斜線を引いて、そこが切断面であることを示します。



(3)
 切断個所については、他の面図に鎖線で示します。このとき、破線は図形に触れないように描きます。


 この鎖線の両端には符号をつけます。例えば両端に「A」という符号を付けます。この場合、「A」と「A」を結ぶ破線で切断された断面図となるので、[A−A線断面図]と呼ばれます。


 また、切断箇所を示す鎖線の両端には矢印を付けて、描いた方向、つまり2つに切断された部分のどちらを描いた図であるのかを示します。



(4) 
 切断箇所が異なる複数の断面図を提出することもできます。

その場合は、切断箇所を示す鎖線の両端の符号を変えることにより、

 [A−A線断面図]

 [B−B線断面図]

 [C−C線断面図]

のように 切断箇所に応じた断面図を特定します。



(5)
 物品の内部構造を省略した断面図を提出することもできます。

 例えば、電話器の断面図の場合、外部から見えるカバー部分の形状は意匠として大切ですが、内部の基板や配線などの構造は表わす必要がありません。


 内部構造を省略した場合、図面の名前は
[内部機構を省略したA−A線断面図]のように書きます。



(6)
 昔は1つの平面で切断したような断面図しか認められていなかったのですが、近年では図面の記載様式の自由度が高まり、

 「組合せ断面図」、  「片側断面図」、

 「斜視片側断面図」、 「一部切り欠き斜視断面図」

のような特殊な断面図を提出することもできるようになりました。


 昔のように手書きで図面を作成していた時代と異なり、CGやCADを使うと複雑な図面も作りやすくなったという背景があるのでしょうね。



(6)
 意匠図面の作成についての詳細は 特許庁のホームページをご覧下さい。

 (注意:リンク先ページは 比較的大きな pdfファイルです。)


                ☆              ☆

[関連事項と経験談]

(1)
 審査において意匠が不明確であるとして拒絶理由通知を受け、断面図の提出を求められることがあります。


 そのような場合は、手続補正書で断面図を提出することにより拒絶理由を解消できる場合があります。



(2)
 断面図の場合は、切断面だけでなく、切断面より向こう側(奥)に見える外観も描きます。切断面の様子だけを描く場合は、[端面図(切断部端面図)]となります。


(3)
 特許や実用新案でも、内部の構造がわかるように断面図を提出することがあります。

 但し、内部構成の理解を助けるために提出する程度のものですから、通常は意匠の図面ほど形状の正確性が求められるものではありません。



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